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Y!mobileのAndroid One「507SH」に触れて分かったこと――使いやすいが課題も石野純也のMobile Eye(6月27日〜7月8日)(1/2 ページ)

ソフトバンクがY!mobileブランドで「Android One」を7月下旬に発売する。3月に発売した「iPhone 5s」と並ぶ主力商品に位置付けられる。Y!mobileの狙いを解説するとともに、実機のファーストインプレッションをお届けしたい。

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 ソフトバンクのサブブランドとして、契約者数を伸ばしているY!mobile。3月には「iPhone 5s」を発売するなど、MVNOにはない充実した端末ラインアップをそろえ、ユーザーの期待に応えている。

 そのY!mobileが、iPhone 5sと並び、「主力に育っていきたい」(ソフトバンク Y!mobile事業推進本部 執行役員本部長 寺尾洋幸氏)という意気込みで新たに発売するのが、日本初となるAndroid Oneの「507SH」(シャープ製)だ。ここでは、Y!mobileの狙いを解説するとともに、実機の仕上がりをレビューしていきたい。

Android One 507SH
日本初のAndroid Oneとなるシャープの「507SH」
Android One 507SH
導入に向けた意気込みを語る、ソフトバンクの寺尾氏

Android Oneでユーザーメリットとサポートコスト削減の両立を狙う

 Android Oneとは、Googleが新興国向けに入れたプログラムのこと。地場のメーカーとタッグを組み、1万円前後の低価格なスマートフォンを開発してきた。この取り組みは現在、21カ国以上で展開されており、徐々にその内容も変わってきているという。ローエンド向けだった端末は、ミッドレンジにまで拡大。「最近だとトルコ向けのものがあり、こちらはほぼミッドレンジ」(プロダクト本部 本部長 坂田大氏)と、その枠組みを広げてきた。

 もともとオープンさが売りで、メーカーがある程度自由に使えるのがAndroidの特徴だが、Android OneはよりGoogle色が強くなる。会見に登壇したGoogleのAndroid & Play Businessでディレクターを務めるKara Bailey氏によると、「OEM(端末メーカー)と一緒に、最新機能を盛り込んだ純粋なAndroidを提供すること」を目的にしているという。そのため、UI(ユーザーインタフェース)は、Nexusシリーズと同じプレーンなAndroidのもので、ここにはメーカーやキャリアの手がほとんど入っていない。

Android One 507SH
Android One 507SH
Android One 507SH
プレーンなAndroidがそのまま搭載され、NexusシリーズなどとUIが統一される。最新OSやセキュリティパッチも、いち早く提供される
Android One 507SH
会見には、GoogleのBailey氏もゲストに招かれ、Android Oneの特徴を解説した

 独自カスタマイズを大きく減らしたことで、「セキュリティアップデートが保証され、われわれ(Google)がデザインした通りのAndroidを楽しめる」(Bailey氏)というのが、ユーザーのメリットだ。最新OSもNexusシリーズと同様、いち早く適用される。Android Oneの場合は、「発売から最低18カ月、少なくとも1回のメジャーアップデートが保証される」(寺尾氏)。507SHは、2016年秋に登場するとみられる最新バージョンの「Android Nougat(ヌガー)」にも対応する予定だ。

Android One 507SH
最新バージョンの「Android Nougat」にも、対応する予定だ

 Y!mobileがこの端末を導入した狙いの1つは、「統一したUIで使いやすい環境ができる」(寺尾氏)というところにある。現時点では、Android Oneの端末は507SHだけだが、今後は他のメーカー製端末にも横展開していく予定。「一気にはいけないと思うが、あとはどう育てていくか」(同)と、徐々に比率を上げていきたい方針を示す。

Android One 507SH
Y!mobileとして、主力製品に育てていく方針。iPhone 5sとAndroid Oneは、まさに「Y!mobileのツートップ」だ

 Y!mobile自身にとっても、Android Oneの導入はメリットがある。寺尾氏は「メーカー×バージョンだけある種類を、なんとかしたかった」と述べており、それらをGoogleの純正UIという形で1つに集約することで、サポートコストの削減が可能になる。UIの種類を減らしていけば、スタッフのサポートもより的確になるため、この部分もユーザーのメリットになりそうだ。

 ドコモはAndroid端末に共通UIを採用しているが、Y!mobileのAndroid Oneも、狙いは近い。一方で、自らがUIを開発し、ユーザーが選べる形にしたドコモに対し、Y!mobileは「1から10まで自前やると合わないので、人様の力をどう使うか」(寺尾氏)に主眼が置かれている。Android Oneに白羽の矢が立ったのは、そのためだ。

 グローバルで共通のUIを採用しているとはいえ、507SHにはいわゆる日本仕様も盛り込まれている。1つが、防水・防塵(じん)。おサイフケータイに関しては「技術的な問題。OSがメジャーアップデートしたら対応しなければならず、いくつかの機能には課題がある」(坂田氏)という理由で搭載が見送られたものの、ワンセグには対応している。NexusシリーズのようなUIだが、シャープが製造を担当しているだけに、純粋なグローバル端末ではないというわけだ。507SHは、こうした機能的な魅力と、「(実質価格で)1〜2万円程度になる」(寺尾氏)という価格の手ごろさで、勝負をかけた端末といえる。

Android One 507SH
Android One 507SH
防水やワンセグに対応しているのは、シャープ製ならではの部分
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