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Y!mobileに「Android One」が必要だった理由 価格競争はそろそろ限界

「これからはAndroid OneとiPhoneを主力に育てる」と話すY!mobile。その背景には、Nexusシリーズの好調ぶりと、脱・価格競争への狙いがあった。

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 ソフトバンクは7月下旬に、国内初の「Android One」スマートフォン「507SH」をY!mobileブランドで発売する。Android Oneとは、Googleが各国の端末メーカーと協力してAndroidスマホを開発するプログラムで、これまでは主に新興国で展開されてきた。

Android One 507SH
Y!mobileの寺尾氏(左)とGoogleのカラ氏
Android One 507SHAndroid One 507SH Android Oneスマートフォン「507SH」

 Android Oneの国内展開と507SH開発について、ソフトバンク執行役員でY!mobile事業推進本部の寺尾洋幸本部長は「スマホの世界はコモディティ化が進み、高級な機種でなくても、数万円の機種でも十分なことができる。さらにユーザーインタフェース(UI)/ユーザー体験(UX)を改善することで、ユーザーに安心して使えるようにしたい」と切り出した。

Android One 507SH
Android Oneの導入で使いやすさをアップしたいという寺尾氏

 Y!mobileは定額通話込みで2980円(現在はキャンペーンで1980円)からの分かりやすい3段階料金を打ち出しており、フィーチャーフォン(ケータイ)からの乗り換えユーザーが多い。寺尾氏によると「料金は松・竹・梅の3つで、店頭での説明はすぐ終わる。しかし、購入したスマホの使い方を説明するのに時間と労力がかかっている」という。

 その点、Googleの標準アプリやホーム画面など、シンプルで統一されたUIを持つAndroid Oneであれば、メーカーや機種ごとに違う説明をしなくても済む。「Android OneはGoogleの知見を生かしたUI/UXが利用でき、多くのベンダーを迎えられる」(寺尾氏)と、Androidスマホの課題でもある「断片化」の改善に期待する。また507SH以降もAndroid One端末をラインアップする計画だ。

Android One 507SH
シンプルで統一されたUIが強み
Android One 507SH
一方で国内のニーズが高い機能を盛り込んだ

 そもそもY!mobileには、これまでにピュアAndroidであるNexusシリーズを販売してきた実績もある。Nexus 5/6/5Xと代を重ねるごとにユーザーの満足度は高まっており、iPhoneと同レベルまで成長した。一方で、「これ(Nexus)が防水だったら」という声もあり、市場ごとに機能を追加できるAndroid Oneであれば、そうしたニーズにも応えられる、というわけだ。

Android One 507SH
改善が進むNexusシリーズの満足度

 507SHの発表に合わせて来日したGoogle Android & Play Business Directorのカラ・ベイリー氏は、「Y!mobileはAndroidを非常に多くのユーザーに提供しているキャリア。日本でAndroid Oneが展開でき、非常に感謝している」とコメントした。Android Oneは2014年に始まったプログラムで、これまで21カ国で展開。その目的について、「端末メーカーやキャリアと一緒に、純粋なAndroidでありながら、最新の機能を盛り込んだ高品質なスマホを作ること」(カラ氏)だという。

 Android OneはNexusシリーズと同様に最新のAndroidが使えるのも特徴で、日本向けの507SHでは「発売から18カ月間はAndroidのメジャーアップデートを保証する。さらに2年間はセキュリティのアップデートも毎月保証する。Android Oneなら、常に最新のGoogle体験をお約束する」(カラ氏)と補足した。

Android One 507SH
最低1回のOSメジャーアップデートを保証
Android One 507SH
つまり「Android Nougat」に対応する

iPhoneに加えてAndroid Oneも手に入れたY!mobile

 この夏で設立3周年を迎えるY!mobileは、旧ウィルコムと旧イー・モバイルの通信事業にヤフーが参加して形作られた。Yahoo! JAPAN IDとも連携し、PCが中心だったECのスマホシフトも目指している。

 それにはまずスマホの普及が欠かせず、「高い、難しい、怖い」というスマホ導入のハードルを克服するため、低価格で分かりやすい3段階の料金を設定。約1000店のキャリアショップを含む4000近い販売網も駆使している。

Y!mobile
3月に販売を開始した「iPhone 5s」
Y!mobile
年末から販売数は約3倍に

 3月には「iPhone 5s」の取り扱いも開始した。寺尾氏自身も5sの販売を「今さら?」と感じたそうだが、結果として新生活に合わせて中高生の若いユーザーが増加。4月の契約数は2015年12月と比べて280%の伸びを記録したという。この勢いは5〜6月も続いており、iPhoneの影響でAndroidスマホの販売量が減ることもなかった。

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iPhone販売後もAndroidの販売数が減ることはなかった
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バブリーな1980年(円)キャンペーンも開始

 さらにこの6月からは月額1980円のキャンペーン料金を開始し、“1980年代”とかけたバブル時代をほうふつとさせるCMも話題だ。ただ寺尾氏は、ウィルコム・イー・モバイルの経験を踏まえ、「低価格競争でやっていけるのはせいぜい3〜5年」と明かす。1980円のキャンペーンは大手キャリアに継ぐ知名度を得るのが目的で、将来、番号ポータビリティ(MNP)の乗り換え先として覚えておいて欲しい――という狙いがある。

Y!mobile
引き続きYahoo!と連携し、スマホの普及を目指す

 シンプルな低価格路線に全国規模の販売網、そしてYahoo!と連携するY!mobile。iPhoneの取り扱いに加え、GoogleのAndroid Oneブランドも手に入れた。寺尾氏は「今後はiPhoneとAndroid Oneを主力として育てていきたい」と述べ、同時にY!mobileのテーマである「ネットの生み出す楽しさ・便利さをみんなの手元に届けたい」を実現したいと意気込みを見せた。

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