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中国女子スマホの最新トレンド 「さりげない高級感」と「超高画質セルフィーカメラ」山根康宏の中国携帯最新事情(2/2 ページ)

群雄割拠の中国スマホメーカー。華やかなデザインとセルフィー(自撮り)機能を充実させた女性向けモデルの競争も激しい。「中国女子スマホ」の最新トレンドを探った。

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インカメラも2100万画素! 革風仕上げて高級モデルを目指すMeitu

 アウトカメラよりもインカメラの機能をアピールしたスマートフォンを送り出しているのがMeituだ。同社はスマートフォン向けのセルフィーカメラアプリも提供しており、こと人間、いや「女性の顔を美しく撮影するノウハウに関しては他社の追従を許していない」(説明員)と自負するほどの、セルフィーカメラ機能を搭載したスマートフォンを開発している。

 上下がとがった縦長の六角形デザインは他社にはない独自のもの。だが、これはセルフィーデジカメとして中国で大人気のカシオ製カメラをインスパイアしたものだろう。

中国女子スマホの最新トレンド
女子セルフィースマホに特化したMeitu
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カメラのセルフィー機能は強力だ

 最新モデルの「Meitu V4s」は2100万画素カメラを搭載。これはアウトカメラだけではなく、インカメラも同じものを搭載している。しかもイン側にもフォトライトを搭載。カメラモジュールはソニー製であることもアピールしており「現時点で最も美しいセルフィーを撮影できるスマートフォン」(同)とのことだ。ディスプレイは5型フルHD、チップセットはMediaTekのMT6795と、いわゆるミッドハイレンジの製品にもかかわらず、メモリは3GB、ストレージも128GBと強力だ。128GBのメモリを搭載するのは、microSDカードを使わずとも、美しいセルフィーをどんどん撮影できるようにという配慮からだろう。

 本体デザインは、六角形の形状を目立たせるよう、フレーム状の飾りをディスプレイの上下に配置。側面の金属フレームはピンク色で仕上げた。さらに背面は革風で高級感を出している。本革を使った高級版も用意されている。

 価格は標準版は3499元(約5万3800円)、高級版は4399元(約6万7600円)とハイエンドスマートフォンクラスの価格だ。先に紹介したSugarの各モデルが機能やスペックを調整しつつあえて2000元以下の価格に合わせているように、中国では多くのメーカーの製品が「1999元」を切る値付けとし、消費者に買いやすさをアピールしている。それと比べるとMeitu V4sの価格設定はかなり強気だが、他社にはない最強カメラと高級感あふれる仕上げで十分勝負できると考えているのだ。

中国女子スマホの最新トレンド
2100万画素インカメラの「V4s」
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背面は本革風の仕上げで価格に見合った高級感を出している

 このMeituの「最強セルフィースマホ伝説」ともいえるようなカメラを搭載したスマートフォン、実際に現地ではどれくらい人気なのだろうか? MWC上海2016のMeituブースには、最終日にもなると他の企業の受付嬢やコンパニオンなどが続々とやってきて、フロントカメラを使ったセルフィーのテストを代わる代わる試していた。最終日ともなれば来訪者の数も少なく、休憩時間にも余裕ができるのだろう。美意識について敏感な彼女たちが次々とやってきてはセルフィーの試し撮りにいそしんでいたということは、Meitu製品のセルフィー機能がそれだけ認知されているということだろう。

 また実際にMeituのスマートフォンを持って会場内でセルフィーを撮影している女性もちらほらと見かけた。某社のブースでは、製品説明をする説明員の若い女性がちょっと時間ができるとポケットから自分のMeituのスマートフォンを取り出し、セルフィーしてはSNSで友人たちに送っていた。彼女は競合する某スマートフォンメーカーの説明員なのだが、プライベートではMeituを使っているようだ。休憩時間には他のブースにまで出向いてモデルたちとセルフィーを撮るなど、彼女のスマートフォンのカメラの使い方は100%がセルフィー。そんな女性にとって、Meituのスマートフォンは最も満足できる製品なのだろう。

中国女子スマホの最新トレンド
この女性はほぼ1日中、セルフィーばかりを撮影していた

 中国の女性向けスマートフォンメーカーとしてはDoovが有名な存在で、家電量販店でも自社ブースを構えるなど一時は準メジャーメーカーの仲間入りを果たした。しかし最近は新製品の発表ペースも落ち、ひと時ほどの勢いは感じられない。

 インカメラを強化するセルフィー競争のトレンドに出遅れるという戦略ミスが、ここ1〜2年で失速した一因だろう。そのDoovに変わって今ではSugarとMeituが伸びているのだ。中国スマートフォンメーカーの競争はXiaomiに変わってOPPOが首位に立つなど激しさを増しているが、女性向けスマートフォンメーカー間の攻防も見逃せないものになっているのである。

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