UQがWiMAX 2+の速度制限を「直近3日間10GB・夜だけ」に緩和 制限中速度は1Mbps程度に:5分で知る最近のモバイルデータ通信事情(2/2 ページ)
UQコミュニケーションズが「WiMAX 2+」の通信速度制限ルールを2017年2月2日から変更します。これにより、容量のしきい値と通信制限される時間が緩和される一方、制限中の通信速度は厳しくなります。
一番割を食うのは「固定代替」ユーザーか
この新ルールにおいて一番大きな影響を受けるのは、自宅や事務所の固定回線代わりにWiMAX 2+を使っているユーザーでしょう。
UQは、WiMAX 2+通信サービスを固定回線の代わりに使っている契約者の割合を明らかにしていませんが「URoad-Home2+」や「novas HOME+CA」といった据え置き型(移動中の利用を前提としていない)WiMAX 2+ルーターを継続して提供していることを踏まえると、無視できない割合で存在するものと思われます。
「家で帰宅後に動画をゆっくり見る」といった使い方をしている場合、今回の新ルールが適用されると、より厳しい速度制限がかかって動画を快適に視聴できない、ということも考えられます。このようなユーザーに対するケアがUQには欠けている、という見方もできなくはありません。
ただし、「固定代替」で使っていると割を必ず食う、という訳でもありません。筆者のメインノートPCでの直近6カ月間の固定回線経由のデータ通信量を調べてみたところ、多い月で96GB、平均では58GB程度になりました。多い月で「1日あたり3GB」と考えると、新ルールの制限しきい値を下回ります。
もちろん、ノートPCに加えてスマートフォン・タブレットも通信するとなると、通信量は増大しますが、「インターネット動画は見ない」など、使い方次第では「3日で10GB」の新ルールでも十分に固定代替の用途を果たせるのです。
「もともと制限対象外」なら関係ない?
今回の新ルールでは、制限対象となるユーザの母数は確実に絞られます。そのため「もともと制限のかかる使い方をしない自分には関係ない」と考えるユーザも多いと思います。ですが、果たしてそうでしょうか?
先述の通り、新ルールでは速度制限の時間が夜から深夜の8時間に限られます。言い方を変えれば、それ以外の時間帯は制限対象のユーザーも速度制限がかからない、ということです。つまり、速度制限対象となるユーザーが制限時間外に通信の比重を移し、結果として全体の通信速度が低下する可能性があるのです。こうなると「自分には関係ない」とは決して言えません。
筆者の主な行動範囲である都内では、キャリアアグリゲーション(CA)が始まって以来、電波が安定さえすれば速度的に不満なくWiMAX 2+を使えています。新ルール適用後、この快適さが保てるのかという“不安”が筆者にもあります。
UQの説明によると、ネットワーク側は通信量のピーク時間帯に対応できるように増強をしているため、それ以外の時間帯については比較的余裕があるそうです。新ルールの適用後、直ちに大幅な速度低下は起こることはなさそうですが、速度の動向には注目したいと思います。
次に期待したい「制限緩和」
現在、WiMAX 2+と互換性のある「TD-LTE」という通信方式に対応するSIMロックフリー端末は増加傾向にあります。潜在的にはWiMAX 2+が使える端末が増えているのです。加えて、2016年は国内でも2つのSIMカードで待ち受けできる「DSDS(Dual SIM Dual Standby)」機能に対応した端末も増えました。
TD-LTEとDSDSの両方に対応するSIMロックフリースマホでWiMAX 2+契約用のSIMカードが使えれば、データ通信はギガ放題、音声通話は大手キャリアの通話定額プランでより完璧に近い「使い放題」環境が整えられます。
しかし、前回の連載でも触れた通り、UQと同社のMVNOが提供するWiMAX 2+サービスは、ネットワーク側で端末を識別しているためにSIMロックフリー端末で使うことができないのです。
ギガ放題プランの提供開始時、UQは「制限からの解放」をうたいました。今回の速度制限のルール変更もその一環ですが、次はWiMAX 2+契約で利用できる端末の制限も緩和することを期待しています。
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