14万契約を突破した「J:COM MOBILE」、iPhone 6sも販売――J:COMのモバイル戦略
ジュピターテレコム(J:COM)が2017年度の事業戦略説明会を開催した。iPhone 6sの公認再生品を販売するなど、MVNOサービスで独自性を見せる同社にとってのMVNO事業はどのような位置付けなのだろうか?
ジュピターテレコム(J:COM)は6月7日、2017年度の事業戦略説明会を開催した。
「J:COM Everywhere」をキーワードに、同社は、生活のあらゆる曲面でJ:COMサービスを浸透させる「J:COM Everywhere」戦略を推進している。その中で、同社はMVNOサービス「J:COM MOBILE」をどのように位置付けているのだろうか。
2016年度は10万件の純増
J:COM MOBILEは、au回線を利用する「スマホセット」と、NTTドコモ回線を利用する「SIMカード(Dプラン)」を用意している。J:COMが注力しているのはスマホセットで、J:COMスタッフによる訪問サポートや、「J:COMオンデマンド」のパケット通信料金が無料(カウントフリー)であることが大きな差別化要素となっている。
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2016年度(2016年4月〜2017年3月)は、スマホセットの端末やプランを拡充し、通話準定額「かけ放題5分」を導入するなどサービスの改善に取りくんだ。特に、端末面では売れ筋のAndroidスマホに加えて、「iPhone 6s」のApple公認再整備品(CPO)を国内では唯一取りそろえた。
その結果、J:COM MOBILEを含むMVNOサービスにおいて1年間で10万件の純増を達成した。
MVNOサービスは「リテンション」の一環
J:COMは、本業のCATVに関連する3サービス(テレビ、インターネット、電話)にJ:COM MOBILEと電力小売サービス「J:COM 電力」を加えた5サービスにおいて「守りと攻めを併用」(井村広彦社長)して、中長期視点での経営基盤強化を図るとしている。
その中で、現時点でのJ:COM MOBILEやJ:COM 電力は、既存サービスの「リテンション」としての要素が強い。要するに、J:COMのCATV関連サービスへの「引き留め」、あるいはこれらのサービスからCATV関連サービスへの「誘引」を目的としているのだ。
昨今は、NTTドコモやソフトバンクも「光コラボ」を活用した光回線サービスを提供している。また、J:COMの親会社でもあるKDDIも、光回線サービスや電力小売サービスに参入している。J:COM MOBILEやJ:COM 電力は、これらの企業の「囲い込み」に対抗する手段でもある。
そういうこともあり、J:COMのCATVサービスのエリア外でJ:COM MOBILEやJ:COM 電力を提供する考えは短期的にはないという。
KDDIとの関係という点では、先述の通り競合(重複)分野が増えている一方、J:COM自身がau携帯電話の販売代理店にもなっているという複雑な関係だ。ある意味で「すみ分け」が重要な鍵となる。
この点について、牧俊夫会長は「当社(J:COM)は(ユーザー)の家に『入り込める』ことが大きな違い。きちんと教育を受けたサービスマンが自宅へ伺って(サービスや機器の使い方に関する)アドバイスができる」と、J:COMのサポートネットワークを生かすことが一番のすみ分け要素になることを説明した。
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