「数字だけのシェアは追わない」 OPPOが日本市場で目指すもの:SIMロックフリースマホメーカーに聞く(2/3 ページ)
急成長を遂げている中国の新興メーカーOPPOが日本に参入。第1弾スマホとして「R11s」を発売したが、ラインアップはこの1機種のみで販路もまだ狭い。日本市場での攻め方をどう考えているのか? OPPO Japanのトウ・ウシン社長に聞いた。
カメラフォンの市場シェアを取る
―― R11sに関しては、カメラフォンという打ち出しをしていますが、カメラについては、他社も力を入れている分野です。OPPOならではの何かはあるのでしょうか。
トウ氏 まずOPPOは、カメラ機能がスマートフォンの中で最も重要な機能だと認識しています。カメラにおける技術も積み上げてきていて、毎年、新しい技術を発表しています。世界初の美顔機能が搭載されたスマートフォンはOPPO製品ですし、インカメラにそこまで高画素のカメラを搭載できない以前の世代では、アウトカメラを回転できるものも開発しました。
世界一流のサプライヤーと提携しているのもそうで、ソニーさんやQualcommさんなどとは、撮影に特化したセンサー、ICチップの導入や開発をしています。これが、OPPOの価格帯でできていなかった最高のカメラを導入できた理由で、成果も出てきています。
カメラフォンはブランドの位置付けです。他社も自社のカメラ機能を誇っていますが、カメラフォンとまで呼んでいるところは他にありません。OPPOがスマートフォンをカメラフォンと位置付けることで、消費者にもそういった認識をしてもらいたい。競合もカメラを大切にはしていますが、OPPOまでは至っていないという考えです。
車で例えると分かりやすいかもしれません。ベンツは自分を高級車と位置付けていて、市場シェアは高くありません。自分を(一般的な)車と位置付ければ、もっと市場シェアは取れると思います。その意味で、OPPOはカメラフォンの市場シェアを取っていきたいと考えています。
―― 今のお話に関連して、シェアの目標はありますか。
トウ氏 面白いエピソードがあります。運営の仕組みやブランドの位置付けから考えて、そこまで大きなシェアを取れない市場があるとしましょう。ただ、その市場で、市場シェアが想定を超えてしまった。その場合、OPPOでは責任者が責任を問われることになります。普通にやっていれば、そこまで市場シェアが取れるはずはないからです。そこで市場シェアが取れたというのは、予想を超えている。何か、本来やってはいけないことをやってしまったのかもしれないからです。正しいことをすれば、それに見合ったシェアは確保できます。そういった会社なので、数字を追うためだけのシェアは、念頭にありません。
今やるべきことは、消費者の趣味嗜好(しこう)を理解することで、プロモーションやサービス訴求などです。需要と供給を満足させ、商品のカスタマイズ要求に応えていき、販売チャネルも深めていきたい。そういったインフラが整っていけば、売り上げは自然に伸びていくものです。今単なる数字目標を立てることは、あまり正解だとは思えません。
iPhoneが売れているのはOPPOにとってもいいこと
―― 先ほど、大手キャリアの端末が強いというお話がありましたが、OS別に見ると、日本はiPhoneが特に大きなシェアを持っています。Android端末メーカーである貴社は、この点をどうお考えでしょうか。
トウ氏 日本は市場が本当に大きく、全てのメーカーが共存できる規模だと考えています。そのため、OPPO自身がiPhoneに対して何かするということは考えていません。自分がやるべきことに注力したいですね。また、iPhoneが売れているのはOPPOにとってもいいことです。なぜなら、iPhoneが売れているという現象は、日本人がデザインや使いやすさ、製品の完成度を追求するというシグナルだからです。逆に、分厚くて、スクリーンが小さいケータイの市場シェアが高いような国だと、われわれも困ってしまいます。
―― 実際に発売して見て、反響はいかがですか。
トウ氏 今はまだ販路が少ない状態ですが、われわれから見ると、予想通りの効果をあげています。
―― 日本ならではの傾向のようなものはありましたか。例えば赤がいいなど……。
トウ氏 確かに得意先が喜んでいるのはレッドですね(笑)。赤の売れ行きがいいというお話です。
―― どのくらいのペースで端末を出していきたいか、ロードマップのようなものはありますか。
トウ氏 OPPOは量で勝負するのではなく、ブランドのよさで勝負しています。ですから、1年にたくさんの種類を出すというより、1つ出したら、それで市場をしっかり取っていく戦略です。グローバルで見ても、年に5つか6つの機種を出しているだけですから、日本という成熟市場では、2つか3つを出していきたいと考えています。
広告やショップの展開は?
―― OPPOというと、海外では非常に広告展開がうまい印象があります。特に中国やアジアに行くと、主要なスポットに全面広告が打たれていて、自分のような旅行者の目にも入ってきます。日本ではいかがでしょうか。
トウ氏 広告やマーケティングは、消費者の心に種をまき、メディアによって開花させるというイメージのものです。ですから、日本では、焦らずに消費者が重視するコミュニケーションを取っていくつもりです。確かに発展途上国では広告に信頼を持たれているかもしれませんが、日本はそうではないのかもしれない。参入したばかりなので、そこまで研究ができたわけではないので、まずはそこからです。
―― 旗艦店のようなものは、お考えでしょうか。
トウ氏 海外では、スマートフォンは独立して存在するカテゴリーの商品ですが、日本だと、キャリアの付属品のように思われています。消費者も、キャリアと2年契約を結ぶのが一般的です。この場合、スマホは車でいうタイヤのようなものでしょう。方やAppleは、スマートフォンを独立したブランドだと認識していて旗艦店も出しています。OPPOの出店は、スマートフォンという商品が、将来、日本で独立したものになるのかどうかにも左右されます。消費者の中で、独立したブランドとして認識されるかどうかに、戦略が左右されるということです。
もちろん、海外ではブランドの体験店や旗艦店の経験を積み上げています。一方で、小売業界に対してはまだまだ勉強不足なところもあり、細かなところは修正が必要だと考えています。それも含め、これは将来の話ということになります。
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