OPPOが世界で急成長を遂げた理由 日本では“キャリア市場”進出を狙う:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)
日本進出を果たしたOPPOは、世界4位、アジア1位のシェアを誇るほど急成長を遂げた。そんなOPPOが、日本の一部メディアに生産工場を公開。開発担当が報道陣からの取材に応じた。
2018年2月に、SIMロックフリースマートフォン「R11s」で日本参入を果たしたOPPO。同社は現在、世界第4位、アジア地域に絞るとシェア1位のスマートフォンメーカーだ。お膝元の中国では、HuaweiやZTEといった老舗を抜いてシェア1位を獲得。参入からわずか6年で急成長を遂げた。特に若年層から熱烈な支持を集めている。
そんなOPPOが、日本の一部メディアに生産工場を公開。開発担当が報道陣からの取材に応じた。急成長するOPPOの強みや、あえて今、日本市場に参入した目的をここから探っていきたい。
カメラに注力して急成長、デバイスの共同開発で差別化を図る
OPPOは、「全てのリソースをスマートフォンに集中」(カメラ担当 スー・ユー氏)させることで、急成長を遂げた。端末開発にあたって特に注力しているのが、デザイン、充電ソリューション、カメラの3つだ。中でも技術が注がれているのがカメラで、「ユーザーがいい写真を撮れるだけでなく、それが気軽に撮れることを目標にしている」(同)。
「よりよい写真を撮るためには、ハードウェアとソフトウェア、2つに注力しなければならない」(スー氏)という考えのもと、カメラモジュールそのものや、チップセット内にあるISP(Image Signal Processor)のカスタマイズまで手掛けているという。例えば、カメラセンサーに関しては「ソニーと提携し、『IMX214』を開発して、業界で初めて『Find 7』に導入した」(同)。「R9s」に搭載されたソニーの「IMX398」も、OPPOのデザインが生かされているという。
ISPに関しては、Qualcommと協業。日本で発売されるR11sに搭載されるSnapdragon 660には、「初めてISPの『Spectra 160』を導入することができた」(スー氏)。ソニーやQualcommといったメーカーは、こうしたデバイスを他のメーカーにも販売するが、「共同開発によって技術の保護期間があり、3カ月から6カ月ぐらいの間、OPPO専用にできる」(同)アドバンテージが生まれる。
結果として、回転式カメラを搭載した「N1」や、それをモーターで駆動させる「N3」などを生み出し、一躍OPPOの名が世界に知れ渡った。R11sでは、1600万画素と2000万画素のデュアルカメラを採用。明るい場所では1600万画素、暗い場所では2000万画素を使い、最適な写真が撮れることを売りにしている。
一方で、ソフトウェアの力を生かしたセルフィーにも早くから注力してきた。スー氏によると、「U701」という端末で世界初のビューティー機能を搭載し、既にそのバージョンは4世代目にまで上がっているという。美顔機能については、「AIを取り込み、髪の毛や目の補正が、より自然になっている」(同)。
美しさの基準は国や地域によって異なるが、「市場ごとにデータをかき集めている」(スー氏)そうで、R11sでは1万枚以上のサンプルを分析した。日本のデータも、現在収集している最中だという。
こうした地域ごとのニーズを重視しているのも、OPPO端末の特徴だ。同社でプロダクトマネジャーを務めるリッスン氏は「東南アジアで成功しているのは、ユーザーとのコミュニケーションを取れているから。各地域で消費者を研究し、商品のローカライズに注力している」と語る。
また、同社の端末は100%、中国・東莞(とうかん)にある自社工場で基板の製造から組み立てまでを行っている。OEM、ODMに製造を委託するメーカーが多い中、“モノ作り”にこだわっているのもOPPOの特色といえるだろう。東莞の自社工場は2004年に開設。2015年に改築を経ており、約7000人が暮らす社員寮も併設している。
職住一体となった22万平米の広大な生産拠点を持ち、自社生産にこだわるところは、さながら全盛期の日本メーカーのようだ。ローエンドモデルまで、あえてコストがかかる自社生産にしているのも、品質を重視しているからだという。デバイスメーカーと協同で開発した、最新技術を取り込みやすいというメリットもありそうだ。
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