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楽天のMNO参入は「脅威」「エコシステムの競争に」 ドコモ吉澤社長インタビュー(2/2 ページ)

「回線」から「会員」に軸足を移したNTTドコモ。dポイントのエコシステムを強化し、コード決済サービス「d払い」も始めた。直近の注目トピックについて、ドコモの吉澤和弘社長に話を聞いた。

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MNO参入後も楽天に回線を貸すのは「おかしなこと」

―― 2019年に楽天がMNOとして参入しますが、MVNOのサービスも並行して展開すると聞いています。ただ、楽天がMNOになったらドコモが回線を貸すことは基本的にはないと認識しています。

吉澤氏 本来はそうですね。MNOとして電波を割り当てて事業を運営するからには、自らエリアを広げていくものです。自分たちがいつまでたってもできないところ(エリア)をMVNOで残すことは“いいとこどり”になりますので、おかしなことです。MVNOの契約者の方がいつかはシフトして、MNO側に巻き取っていくというのが本来あるべき姿です。まだMNOとしてスタートしているわけではありませんので、話し合いになると思います。

―― 楽天が保有するのは1.7GHz帯の20MHz幅(×2)のみなので、当初はローミングに頼らざるを得ないのかなと思います。そのあたりの話し合いも今後、になってくるのでしょうか。

吉澤氏 前々から申し上げていますが、ローミング等の要望があれば、ビジネスベースで協議させていただきます。このスタンスは変わっていません。まだ話し合いは始まっていません。エリアについても、日本全国でやるのか、楽天さんがカバーされる東名阪もありますが、それ以外でトラフィックが大変なところはローミングをお受けできない場合もあるかもしれません。エリアの件と、いつまでやるか、ですね。無制限ではないので、そこは決めないといけません。

―― 純粋な感想として、楽天が第4の勢力になることをどう受け止めていますか。

吉澤氏 モバイルネットワークを、どこまでどのタイミングで作れるかというのはありますが、楽天さんは強大な会員基盤をお持ちです。Eコマースもさることながら、ポイント、カード、証券……いろんなものをお持ちなわけですよね。そこにモバイルネットワークが融合して、料金やサービスが出ることは脅威だと思います。われわれも会員やポイントをやっているので、エコシステム同士の競争になります。

ドコモが「会員基盤」を重視する理由

―― ポイントの施策を強化し、回線よりも会員の基盤を重視する狙いをあらためて教えてください。

吉澤氏 回線はケータイの契約ですから、限りがあります。今、日本全体でも新規はなかなかなくて、少子高齢化もあります。(人口が)減ることはあっても、増えることはありません。顧客という観点から見て、何をやるか。dマーケット、dポイント、dカードなどのサービスでお客さまを増やさないといけない。そこで会員が基盤になれば、もっと増えるというわけです。

 当然、ドコモだけではできないので、加盟店を増やします。店舗に行く方もドコモの会員だとみれば、どんどん広がっていくわけです。そこでトランザクション、決済が発生します。そういったところで売り上げが立ったり手数料が入ったりします。

 それと同時に、会員一人一人の行動について、いろんなデータが集まりますし、位置情報が分かる。これらのデータを駆使して、次のお客さんに新たなサービスや便利なものを提供する。そういったマイクロマーケティングをぜひやりたいなと。パートナーの商流が拡大することも理由の1つです。

―― dポイントは他キャリアのユーザーにも開放していますが、ドコモ側にはどんなメリットがあるのでしょうか。

吉澤氏 ドコモの回線を解約しても、ドコモに残って使っていただくことは当然メリットです。他キャリアの方でも、会員基盤の中でいろいろなサービスを使うことで便利さを享受いただいて、「やっぱりドコモに入った方がいいよね」と思っていただきたい。会員が増えることによって購買機会が増えることも狙っています。

コード決済の標準化推進にも意欲

―― 4月に開始した「d払い」の進捗を教えてください。想定通りに使われているのでしょうか。

吉澤氏 加盟店はまだ11社で2000店舗ほどで、それなりに使われています。大きいところでは、ローソンやマツモトキヨシなどで準備をしていて、2018年度中に10万店舗を目標に掲げています。一方、キャッシュレス推進協議会で、バーコード決済の標準化が課題に挙がっているので、そういったところも見ながらになります。

NTTドコモ
QRコード/バーコードを読み取って決済できる「d払い」

―― コード決済はさまざまなサービスが乱立していますが、標準化に取り組む意向もあるということでしょうか。

吉澤氏 われわれも(キャッシュレス推進協議会の)メンバーに入りましたので、標準化の方向に行くと思いますし、読み取り機もできれば同じ方式の方がいいので、いろいろと提起していきたいと思います。

+メッセージ、MVNOへの解放もできる

―― iPhoneも対応した「+メッセージ」の進捗(しんちょく)を教えてください。

吉澤氏 ドコモのダウンロード数は現在50万ほどです。KDDIさんはもう少し上だったと思いますが。電話番号だけで認証して、シンプルにキャリアを意識せずにできるので、それなりにご好評いただいているのかなと。そうは言いながら、今後はC2Cだけでなく、B(企業)との対話。企業から個人へのアクセスや情報提供なども追加していきたいと思います。

―― それはドコモだけでなく、3キャリアが共同ですることだと。

吉澤氏 共同して考えることだと思いますし、他にもアイデア出しをしているところです。

―― +メッセージはまだMVNOユーザーが利用できませんが、MVNOへの解放はいかがでしょうか。

吉澤氏 それもできると思います。開発が伴うかもしれませんが、ご要望も含めてですね。

コンシューマーが享受できる5Gのメリット

―― 最後に5Gについて、現在公開されているユースケースは法人向けのイメージが強いですが、コンシューマーにとって目に見える変化はありそうでしょうか。

吉澤氏 スマホやタブレットがまだ5Gに対応できていない部分もあるので、どういう風に見せられるかですよね。VRやARなどで、5Gならではのコンテンツは親和性があるんじゃないかと。コンテンツも含めて、C向けに対しては、どういうアプローチがいいかは考えているところです。

 後はオリンピックやパラリンピックも見据えているので、そこでC向けに何ができるか。例えば競技の多視点からの映像を見られるというものもあるでしょうし、B2B2Cになりますけど、遠隔でスポーツや音楽ライブが見られるような、臨場感があるようなものを考えています。それは端末ではなくて、施設を作らないといけません。例えば競技場の全てが180度見られる、臨場感あふれる選手のプレイを見られる、といったものはぜひ出していきたいですね。

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