「Galaxy Fold」の日本発売は? Noteと統合の可能性も? サムスンDJコー氏を直撃(2/3 ページ)
サムスン電子ジャパンが東京の原宿に「Galaxy Harajuku」をオープン。これに伴い、サムスン電子モバイル部門CEOのDJコー氏が来日。「Galaxy Fold」を投入した狙いや、「Galaxy S10」シリーズでライナップを拡大した理由などを語った。
「Galaxy S10e」を追加した理由
―― Galaxy S10シリーズでは、スタンダードモデルと大画面モデルに加え、Galaxy S10eが加わっています。このモデルを追加した理由を教えてください。
コー氏 サムスンが、フラグシップはGalaxy S10とS10+の2種類だと考えていた方も多かったと思います。エッジスクリーンはGalaxy S8のときから展開してきましたが、欧州市場を中心に、フラットモデルが発売されないのかという問い合わせが続けてありました。もう1つお声をいただいていたのが女性で、もう少し小さなフォームファクターで作ってほしいという声が挙がっていました。
さらに、フラグシップモデルの性能を満たしながら、少しだけ仕様を削って適切な価格で提供できないかという要請もいただいていました。こうした3つの背景があり、お客さまの声に耳を傾けた結果、市場に対する回答として出したのがGalaxy S10eになります。
―― 現状、世界シェア1位ですが、それを守るためにどうしていくのでしょうか。社員にもプレッシャーをかけていると思いますが、いかがですか。
コー氏 私の外見を見ていただければお分かりになると思いますが、プレッシャーをかけることはできません(笑)。ただ、お客さまの多様化する要望に応えるため、どうやっていくのかはお答えすることができます。例えば、インドではフラグシップモデルの市場が全体の15%以下です。残りの85%以上の要求に対応するため、Aシリーズという製品を展開しています。
特にインドは、ミレニアル世代やジェネレーションZ(主に2000年から2010年の間の世代)が大きな役割を占めています。そのため、Aシリーズにはフラグシップに入れていなかった技術をいち早く搭載しました。クアッドカメラに関しては、フラグシップモデルより先に採用しています。また、インドはオンライン市場が活性化しているため、1月にオンライン専用のMシリーズを発売しました。
Mシリーズは若者が購入しやすい魅力的な価格と機能を備えていますが、「Galaxy M10」は2分で15万台、「Galaxy M20」は5分で数十万台が売れています。また、「Galaxy M30」は2万台の在庫が30分で完売しました。こうした成功事例は、他のマーケットにも広げていきます。
確かにナンバー1を守り続けるのは非常に難しいことです。なぜなら、スマートフォンの技術が一般化し、多くのメーカーがスマートフォンを作るようになったからです。お客さまのことを考え、意見を正確に反映し、迅速に動いていかなければ、1位を守ることはできません。こういう話をすると、社員の方々にはプレッシャーになるかもしれませんが(笑)。
日本ではフラグシップで勝負を続けたい
―― ミドルレンジという意味だと、日本でもGalaxy Feelシリーズが好調です。この市場をどう広げていくお考えでしょうか。
コー氏 日本はこれからも、フラグシップモデルで挑戦し続けたい市場だと思っています。ですが、パートナーのキャリアから、バッテリーが長持ちしてああいった価格帯の製品があれば、日本のユーザーに喜んでいただけるというお話をいただきました。パートナーの料金制度(docomo withのこと)とマッチして、いい評判を得ることができたという認識です。ですから、ミドルレンジに進出するというよりも、パートナーのお話を聞き、お客さまの要求に応えることが第一だと考えています。
もう1つ、キャリアと議論しているのが、日本ではまだフィーチャーフォンを使っているユーザーがたくさんいるということです。フィーチャーフォンを使っている方が、どうしたら無理なくスマートフォンに移行できるのか。そのユーザビリティについて考えています。こうした方々がフィーチャーフォンからスマートフォンに変える場合、ミドルレンジやその他の製品になると見ています。
―― 日本で完全分離モデルが始まりますが、その影響はどう見ていますか。SIMフリーに関してはいかがでしょうか。
コー氏 料金分離制度に関しては、韓国で経験しています。日本においても料金分離が始まり、パートナーであるキャリアが悩んでいるというに認識です。制度によってはある程度影響を受けることになるかもしれませんが、最も重要なのはお客さまです。生活の中で欠かせない、最高の経験を感じていただける製品を作ることができれば、消費者の皆さまに受け入れていただけると信じています。
SIMフリーについては、韓国でGalaxy S10シリーズを発売したときに反応が非常によく、選択肢を広げられる制度だと思いました(注:韓国の自給制のこと。通信事業者を介さず、家電量販店で端末を購入する仕組みを指す)。
スマートフォンを超えたスマートデバイスに拡大
―― 高機能端末ではAppleがいる一方で、ミドルレンジでは中国メーカーの人気が高まっています。対抗策はありますか。
コー氏 本日お話しした通りですが、お客さまに信頼され、愛される製品を作ることが第一だと考えています。2019年は非常に重要な1年になります。これからの2〜3年で、過去10年の技術革新を超えることになるからです。その基本となるのが、5GとAIの技術です。
5Gは1つのセルにより多くの加入者を収容でき、ダウンロードの速度が20倍高速になったり、低遅延を実現できたりしますが、それだけではありません。5Gはインフラになり、4Gのときに経験できなかったさまざまなことが浸透してきます。
LTEのときにはスマートフォンだけで何かをやってきましたが、5GはAIが加わり、IoTやAR、VRといったもので、スマートフォンを超えたスマートデバイスに拡大していきます。それはこれから個人の枠を超え、オフィスや自動車、工場、都市と、シームレスな体験はさらに広がっていきます。
サムスンのビジョンは、モバイル体験の革新を実現することです。モバイル体験はシマーシブ(没入できるもの)で、パーソナルで、インテリジェントなものになっていきます。体験はデバイスやプラットフォーム、ブランドの枠を超えたものになるでしょう。クロスデバイス、クロスプラットフォーム、クロスブランドを達成するための方法は、1つしかありません。
それがオープンコラボレーションです。サムスンは長年これを準備し、開発者会議などでオープンにしてきました。どのOS、どのプラットフォームとも連携できるものを作ってきました。日本市場ではまだ小さな存在ですが、グローバルではオープンコラボレーションを通じて消費者に近づき、エコシステムを作っていければ、いつかは消費者に信頼してもらえると考えています。
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