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シャープが折りたたみスマホ用の有機ELを公開 車載向けは有機EL+IGZOの合わせ技も

折り曲げ可能な有機ELを、シャープが公開。「AQUOS zero」をベースに開発しており、開くと6.18型ディスプレイになる。有機ELとIGZOを採用した、車載向けのフレキシブル有機ELも公開した。

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 シャープが4月10日、報道陣向けにIoTやディスプレイなどの最新技術を公開した。モバイル分野で注目を集めていたのが、6.18型のフォルダブル有機EL。ここ最近、Samsung ElectronicsやHuaweiがディスプレイ(有機EL)を折り曲げられるスマートフォンを発表して話題を集めたが、この「折り曲げられるディスプレイ」をシャープも披露した形だ。

シャープ
スマートフォンへの利用を想定した、シャープの折り曲げ可能な有機EL。開くと普通のスマホと見た目は変わらない

 展示していた折りたたみスマホは「AQUOS zero」をベースにしており、zeroの有機ELを折りたためるよう改良したもの。プラスチック基板の有機ELを採用したことで、自由に曲げることが可能になった。こちらはスマートフォンやタブレットへの採用を想定している。

 Samsungの「Galaxy Feel」やHuaweiの「Mate X」は、ディスプレイを広げると7〜8型に大きくなるが、シャープの展示機は開いた状態が6.18型なので、折りたたむとさらに小さくなり、従来のフィーチャーフォンのような印象を持った。6型程度が限界というわけではなく、SamsungやHuaweiのように、もう少し大きなディスプレイにカスタマイズすることも可能とのこと。

シャープ
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ディスプレイを内折りにして折りたたむ。このように手で添えないと、少し開いた状態のまま固定できない

 展示機は、折りたたむとディスプレイが内側に収納される内折りタイプだが、シャープによると、外折りデザインのタイプも製造は可能だという。なお、ヒンジなどの折りたたみ機構を加えたことで厚さは増している。完全に折りたたむと背面と裏面がぴったりと重なり合うので、無駄な隙間は生じない。

 半径3mmまでの折り曲げが可能で、30万回の折り曲げ試験をクリアしている。実際に折りたたんでみたが、折り曲げの機構はかなり緩く、手を離すとパカパカと開閉してしまう。半開きの状態で止めることもできない。実際に製品化するとなると、もう少し堅めの折り曲げ機構にする必要があると感じた。

 展示されていたのはあくまで試作機で、実際の商用化は未定。シャープが自ら折りたたみスマホを開発する可能性はもちろん、他社にディスプレイを供給する可能性もあるとのこと。

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6.18型の折りたたみ有機ELの概要
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折りたたみ有機ELを搭載した展示機のベースになった「AQUOS zero」

 あわせて、自由な形に曲げることができる、6.18型のフレキシブル有機ELも展示。フォルダブルのように半分にたたむのではなく、例えば巻物のようにくるくると巻く筒型など、より自由な形状で活用することも想定している。

シャープ
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さまざまな形状に加工できるフレキシブル有機EL

 車載向けには、より大きい12.3型のフレキシブル有機ELを展示。スピードメーターやカーナビでの利用を想定しており、2021年以降の商品化を目指している。特にスピードメーターは「黒をしっかり表現できることが求められる」(シャープ担当者)ため、有機ELのニーズが高いという。こちらはIGZOを採用しているのも特長で、外部の回路で輝度のばらつきを補正したり、焼き付きが起きないよう調整したりできるという。

 有機ELを採用したAQUOS zeroには低温ポリシリコンTFTが採用されているが、IGZOと有機ELの搭載は、スマートフォンでも技術的には可能とのこと。IGZOには低消費電力や滑らかな表示という特徴もあるため、スマートフォンへの搭載も期待される。

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車載向けに開発している、12.3型のフレキシブル有機EL
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有機ELながら、IGZOを採用しているのが特長だ

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