「Xperia 1」レビュー “ソニーならでは”の特徴を隅々までチェックする(2/4 ページ)
「Xperia 1」は、デザインや仕様を刷新させた、プレミアム感の強いモデルに仕上がっている。基本的な特徴をおさらいしつつ、21:9のディスプレイ、カメラ、パフォーマンスなどの気になるポイントをチェックする。今回のXperia 1は買いなのか?
縦長ディスプレイやサイドセンスは便利だが、ケース選びは注意
ここからは、Xperia 1の使い勝手や新機能、性能についてより深く見ていこう。
縦長21:9のディスプレイは、最初見た目の大きさに戸惑うかもしれない。だが、実際に使い始めると、ブラウザやSNS、メッセージが見やすく、手放せなくなること間違いなしだ。ディスプレイが平面かつノッチがないので、操作時にストレスを感じることもない。横幅がスリムなので、文字も従来モデルと似た感覚で入力できる。
気になるのは、縦長になった分、持ち歩くときにどこに収納するかだが、普段からスーツの胸ポケットやバッグへ入れている人なら違和感なく利用できるだろう。
この縦長ディスプレイでぜひ使いたいのが、アプリを上下2画面表示できるマルチウィンドウだ。もともとAndroid OSに備わっている機能だが、縦長ディスプレイになったことでより使いやすくなっている。本体上部でネット動画を再生しながら、従来のスマホと同じ画面の広さでSNSアプリなどを使えると聞けば、その便利さにうなずく人も多いだろう。
現在では多くのアプリがマルチウィンドウに対応しているが、ゲームアプリやニコニコ動画など、一部非対応のアプリが存在する点は認識しておこう。
この縦長ディスプレイだからこそ生きる機能が、Xperia XZ3から継承した「サイドセンス」だ。ディスプレイの左右、本体前面の左右の角に近い位置にタッチセンサーが搭載されており、指でダブルタップ、上下にスライド操作をすることで設定した機能を呼び出せる。
サイドセンスに「戻る」や「タスク切り替え」といった操作を割り当てれば、片手親指だけで大半の操作が可能になる。最近の他社スマホに搭載されている、片手操作用のジェスチャー操作と同じような操作ができるというわけだ。
だが、このサイドセンスには大きな欠点がある。一般的な保護ケースを装着すると、角がケースに覆われてしまい利用できなくなるのだ。
ソニーモバイル製などでサイドセンス対応をうたった保護ケースもあるが、これらは本体側面がむき出しになっており、保護カバーとしての役割をあまり果たしてくれない。サイドセンス自体は便利な機能だが、やや使いづらいのは残念なところだ。
また、生体認証は右側面に指紋認証センサーの他、Android標準のSmart Lockの顔認証も利用できる。指紋認証は高速だが、顔認証は認識速度や精度が微妙で使いにくい。横持ちで使うことも多いスマホだけに、高速な顔認証も搭載してほしかった。
高画質ゲームは高速処理に加えて、プレイ環境も快適に
映画再生などの画質や内蔵ステレオスピーカーによる音楽再生は、前述の通り、ソニーらしく良好だ。従来のフロントステレオスピーカーは片方だけ本体底面に移動したが、それでも音の偏りはあまり感じられず、音量も十分だと感じた。
3Dグラフィックが主体のゲームは21:9の全画面表示に対応したものが多かった。特に、Xperia 1自体にもインストーラーがリンクされている「フォートナイト」など、TPS(三人称視点のシューティングゲーム)やFPS(一人称視点のシューティングゲーム)系ゲームは、表示面積が広いこともあって遊びやすい。ノッチがない平面ディスプレイなのもうれしい。処理性能や電力効率のよさもあってか、発熱も抑えられている。
ゲーム環境については、Xperiaにもようやく「Game enhancer」という環境設定機能が搭載された。ゲームごとに、プレイ中の処理をゲーム優先にするか、通知をオフにするかといった設定が可能だ。画面の録画にも対応している。ただ、この機能を有効にすると画面上に十字ボタンの設定アイコンが常時表示され、操作だけでなくゲームへの没入感という意味でもかなり邪魔だ。せっかく便利な機能なだけに、アイコンを消せるよう改善を願いたい。
2Dグラフィック系のゲームは18:9の表示を前提としたものが多く、Xperia 1に限らずハイエンドスマホのほとんどで左右に帯が表示されてしまう。ゲーム側の対応も難しいだけに、従来タイトルの対応は期待しない方がいいだろう。
2Dグラフィックのゲームの多くは、最新の縦長ディスプレイのスマホだと左右にどうしても帯ができてしまう。「Fate/Grand Order」はAndroid版アプリの改善もあり、かなり快適にプレイできた。iPhone X以降と違って、画面下の帯表示もない
音楽周りでは、イヤフォン端子を搭載していない点は注意が必要だ。Bluetoothのワイヤレスイヤフォンは、LDACやaptX HDといった高音質コーデックにも対応。さらに、対応トゥルーワイヤレスイヤフォン(ケーブルが一切ない完全ワイヤレスイヤフォン)の接続性やバッテリー持ちをより向上させるTWS Plus(Qualcomm TrueWireless Stereo Plus)にも対応している。
なお、Xperia 1では久々に、というかようやくUSB Type-C端子からの映像出力に対応した。確認した限り、DisplayPort Alternate Modeで、4K30Pまでの出力が可能だ。市販のよくあるUSB Type-C−HDMIの変換アダプターを使えば、テレビにも表示できる。ただ、画面は基本21:9で、写真の全画面表示以外は基本的に小さく表示される。カメラアプリで撮った4K HDRの映像を、BRAVIAなどテレビの全画面表示で楽しめないのは気になるところだ。
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