新型コロナの影響で「IIJmio」は純減 勝社長は新料金プランの提供を予告
IIJ(インターネットイニシアティブ)が8月7日、2020年度第1四半期の決算を発表した。モバイルサービスは法人向けが好調の一方、個人向け純減に。外出自粛による店舗休業の影響が大きかった。
IIJ(インターネットイニシアティブ)が8月7日、2020年度第1四半期の決算を発表した。売上は503.8億円で前年比1.1%増、営業利益は20.5億円で前年比48.2%増となり、営業利益が想定よりも大幅に超過したという。
勝栄二郎社長は「リモートアクセスを中心にITの利活用が浸透し、ストック売り上げを高める方針を貫いてきた(ことが功を奏した)」と振り返る。特にネットワークサービスが好調で、法人向けサービズの増収やモバイル接続料の低減などで、前年比9.7億円の増加となった。
モバイルサービスは、法人向け「IIJモバイル」が204.7万回線となり、2019年度第4四半期の195万回線から9.7万の純増を記録。売り上げは前年比で18.2%と大きく伸ばした。監視カメラや設備点検などのM2MやIoTの需要が継続していることに加え、テレワークやオンライン授業などの増加に伴って回線追加や契約容量増加などの動きが盛んになっていることも大きい。
フルMVNOの売り上げは4億円で、2019年度と比べると法人向け売り上げが大きく伸びている。フルMVNOの仕組みを活用した訪日外国人向けSIMの売り上げは、新型コロナウイルスの影響もあって落としているが、その分を法人売り上げでカバーした格好だ。
個人向け「IIJmio」は106.3万回線となり、2019年度第4四半期の107.5万回線から1.2万の純減となった。その大きな要因が、外出自粛に伴う店舗の休業だ。IIJmioはBIC SIMを始め店舗でも多く扱っているが、休業によって新規獲得の機会が減ったことが大きかった。渡井昭久CFOは「解約率は従来通りだが、なかなか獲得数が伸びなかった」と振り返る。
2020年4月に楽天モバイルが本格サービスを開始したが、それに伴う影響はなかったのか。勝社長は「楽天の無料キャンペーンもあるし、それに対抗したプランを他のサブブランドが出している影響もあったかと思う」と話す。
楽天モバイルは、自社エリアは使い放題、KDDIのローミングエリアも5GBまで利用でき、5GB超過後も1Mbpsで使い放題の「Rakuten UN-LIMIT」を打ち出しており、300万人までは1年間無料で利用できる。これに対抗してUQ mobileが月額2980円(税別)で10GBまで利用でき、10GB超過後は1Mbpsで使い放題の「スマホプランR」を開始。Y!mobileも1Mbps使い放題に追随してプランを改定した。こうした影響がIIJmioにも出ている可能性があるということだ。勝氏は「別のプランを準備している」とも話し、料金プランで追撃を図るようだ。
日本通信が申請した総務大臣裁定で、NTTドコモの音声通話の卸料金を改定することが見込まれており、日本通信は音声定額サービスの提供に踏み切った。IIJとして音声サービスを改定する可能性があるかについて勝氏は「現在、総務省の接続委員会で検討が続いている、その結果を踏まえて新しいプランを考える」と述べた。
関連記事
- IIJmioは微増も法人向けが好調のIIJ 2019年度は「フルMVNO」の伸びが大きく貢献
IIJ(インターネットイニシアティブ)が5月14日、2019年度通期の決算を発表した。売上高は2044.7億円(+6.3%)、営業利益は82.3億円(36.6%)の増収増益。モバイルサービスは法人向けが好調で、フルMVNOは前年比113.6%と売り上げの伸び率が特に高かった。 - 改正法の影響で「IIJmio」が純減も、勝社長「一時的な現象」 5Gサービスは「提供したい」
インターネットイニシアティブ(IIJ)が2月7日、2019年度第3四半期の決算を発表した。法人向けモバイルサービスが好調な一方で,個人向け「IIJmio」は純減となった。勝栄二郎社長はその要因に「電気通信事業法の改正」を挙げる。 - 日本通信の“合理的”かけ放題プランはどれだけお得なのか?
日本通信が、通話定額サービスの「合理的かけほプラン」を7月15日から提供する。月額2480円(税別)で音声通話が使い放題になり、3GBのデータ容量も付いてくる。プレフィックス番号を付けない音声定額サービスは、ドコモ系MVNOでは初となるが、実際のところどれだけお得なのか? - 格安SIMの“音声定額”は実現するのか? 食い違う日本通信とドコモの主張
MVNOの日本通信が、来週、音声定額サービスを投入する。背景には、不調に終わっていた日本通信とドコモの協議に、総務大臣裁定が下されたことがある。一方で、現時点ではまだ協議が完全に合意に達したわけではなく、日本通信とドコモの間には、認識の相違も存在する。 - プラン改定したUQ mobileとY!mobile、どちらがお得なのか? ドコモはどう出る?
UQ mobileとY!mobileの戦いが激化している。UQ mobileの新料金プランが開始になった6月1日には、ソフトバンクがY!mobileの料金プラン改定を発表。2社のプランにどのような違いがあるのか。その中身を分析していくとともに、モバイル市場の動向に与える影響を見通していきたい。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.