「iPhone 12/12 Pro」先行レビュー カメラからMagSafe、5Gまでを速攻試した(2/3 ページ)
10月23日に発売される「iPhone 12」と「iPhone 12 Pro」を発売に先立ち試用することができた。デザインが一新し、特にiPhone 12の進化が大きいと感じた。カメラやMagSafe、5Gについても短い時間ではあるが試してみた。
レンズとチップの合わせ技でパワーアップしたカメラ機能
先走って結論めいたことを書いてしまったが、ここからは2機種のカメラを見ていきたい。スペックは、iPhone 12が広角と超広角のデュアルカメラ、iPhone 12 Proが広角と超広角と望遠のトリプルカメラで、いずれも画素数は12メガピクセル。11月に発売されるiPhone 12 Pro Maxのみ、センサーシフト式の手ブレ補正や画素サイズの大きなセンサーを搭載しているが、iPhone 12と12 Proに限ると、望遠カメラとLiDARの有無が差分になる。
iPhone 11シリーズ比では、広角カメラのレンズが明るくなり、F1.6になった。また、A14 Bionicを搭載したことで、コンピューテーショナルフォトグラフィーとしての能力が大きく上がっている。被写体をパーツごとに分析して、色や明るさを正確にしたり、逆光のようなシーンでもキレイに撮れたりするのは、機械学習の処理を活用しているため。実際、カメラの設定項目を見ると分かるが、iPhone 12と12 Proには、「シーン検出」や「レンズ補正」といった項目が追加されている。
iPhone 11といくつかの場面で写真を撮り比べてみたが、特に明かりの少ない場所での差が顕著に出ている。例えば、以下の料理の写真は、iPhone 12、12 Proで撮ったものの方が、実物に近く、素直な色合いになっている。レンズが明るくなった効果もあって、全体的に明るく仕上がっているのもポイントといえる。逆にもともと明るい、端末を選ばずある程度キレイに撮れるようなシーンでの差分は少なかった。レンズや機械学習の進化によって、カメラにとって厳しいシーンに、より強くなったといえる。
端末を使い始めてから東京都内は天候がすぐれず、スカッと晴れた風景はほとんど撮れなかったのが残念だが、以下はiPhone 12 Proで撮った超広角、広角、望遠の作例。超広角は端のゆがみが少なく、ダイナミックな仕上がりになっている。また、iPhone 12 Proは2倍の望遠レンズにデジタルズームを掛け合わせて、最大10倍のズームが可能になっている。作例を見る限り、単純に5倍分を引き延ばしているのではなく、何らかの処理をかけているようで、広角で撮った写真を拡大するよりキレイに写っていることが分かる。
自動で切り替わるナイトモードもご覧の通り。夜景がキレイに写るのはもちろん、ほとんどの光のない真っ暗な場所でもノイズは乗るが、被写体を判別できる程度に明るく撮ることができる。さらに、iPhone 12、12 Proからは、超広角や望遠でもナイトモードが利用可能になった他、セルフィーにも適用される。暗所撮影時に活躍していた機能なだけに、範囲が広がったのはうれしい改善といえる。
また、ポートレートモードも正確性が増した印象だ。以前のiPhoneは、グラスに刺さったストローのような細い物体の認識が苦手で、背景として一緒にボケてしまっていたが、iPhone 12 Proのポートレートモードでは、きちんと前景としてボケずに撮れていた。なお、iPhone 12 Proでは広角と望遠、どちらを使ってポートレートモードを撮るかを選択できるが、望遠を使った方が精度は高いように見えた。広角を使うと、被写体に近づきすぎずに撮れるのはメリットだが、使い分けは必要になりそうだ。
現時点で、iPhone 12 Proのみの機能としては、Dolby Vision対応の4K、60fps撮影が挙げられる。iPhone 12はDolby Visionがオンの場合、最高で4K、30fpsまでになる。Dolby Visionで撮った場合、iPhone 12 Proの方が滑らかな4K動画が撮れるというわけだ。Dolby VisionはHDRの一種で、オンにしたときの違いは明確。明るい場所は明るく、暗い場所は暗く撮れて、文字通りダイナミックレンジが広がる。iPhone 12シリーズのディスプレイで見ると、その差がよく分かる。

Dolby Visionオン(上)とオフ(下)それぞれで撮影した動画。オンにすると、ダイナミックレンジが広がり、映像の見た目が鮮やかになる。写真では分かりづらいが、再生機器が限定される上、配信も難しかったため、見た目に近い写真を掲載した
惜しいのは、再生機器が限定されている点。YouTubeなどでシェアしてもDolby Visionにはならず、なかなか動画のよさが伝えづらい。対応するテレビで見るなど、ある程度用途は限定されてしまいそうだ。
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