楽天モバイルの申込数が160万を突破 三木谷氏は“携帯料金値下げ”の動きを歓迎
楽天モバイルの累計契約申込数が、2020年11月時点で160万を突破した。MVNOからの乗り換えはまだ進んでいないが、2021年夏に人口カバー率96%を達成することで、移行も進むと三木谷氏はみている。月額2980円で使い放題という料金プランは、他社にはマネできないだろうと自信を見せる。
楽天モバイルの累計契約申込数が、2020年11月時点で160万を突破した。11月12日に開催した決算説明会で明らかになった。楽天モバイルが現在提供している「Rakuten UN-LIMIT V」では300万人は1年間無料とし、2020年内に300万契約の獲得を目標にしていた。楽天の三木谷浩史会長兼社長は「顧客獲得は、ほぼ順調に来ている」と話すが、年内の300万突破は難しそうだ。
160万はあくまで申込数で、気になるのが実際の契約数。楽天の常務執行役員 CMOの河野奈保氏は「申し込み後にキャンセルがあったり、登録を間違えたりすることはあるが、申込者数と契約数はそこまで乖離(かいり)していない」と説明する。以前は「Rakuten Miniが爆発的に売れて、在庫がない期間があってギャップが大きかったが、今回はそういうことはない」(三木谷氏)
MVNOサービスの楽天モバイルのユーザーを合わせると、340万ほどだという。つまり現在はMVNOユーザーの方が多いため、いかにMNOの楽天モバイルに移ってもらえるかも課題といえる。三木谷氏も「MVNOからの乗り換えは、まだアグレッシブではなく、大半が新規かMNP」と話す。MVNOでは、楽天モバイルの月額2980円よりも安いプランを利用しているユーザーもいるためハードルは高そうだが、2021年夏に人口カバー率が96%まで拡大すれば、「大半の人たちは乗り替えた方がいいとなる」と期待した。
1年間の無料期間が終了した後、いかに継続して使ってもらえるかも重要だが、三木谷氏は、楽天モバイルの支払いに楽天ポイントを使えることを挙げ、「SPU(スーパーポイントアップ)を使っている人なら、ポイントで(月額料金を)支払えるのでは」と話す。また楽天モバイルのユーザーを、楽天のエコシステムに取り込むことで、ロイヤリティーの向上を狙う。楽天モバイルの申込者のうち、15%の楽天の新規ユーザーであり、うち35%は、楽天市場、楽天カード、楽天銀行などのサービスを利用しているという。
河野氏は「楽天グループのサービスを使えば使うほどメリットがあることを設計しようと思っている。私たちだから提供できるベネフィットがある」と話し、楽天サービスとの連携をさらに強化していくようだ。
総務省に提出した基地局の開設計画から5年前倒しとなる、2021年夏までにLTEエリアの人口カバー率96%を目指す予定は、8月の発表から変わらない。また、楽天モバイルの基地局は高出力の無線装置を用いているため「アンテナ性能が他社より非常に優れている」と三木谷氏は話し、「カバレッジについては、他社が始めた段階よりは比べものにならないほどいい」とアピールした。
政府の値下げ要請に従い、ソフトバンクとKDDIがサブブランドで4000円前後の20GBプランを発表したが、楽天モバイルの2980円には及ばない。「われわれの料金を、同じ条件で他社がやるのはチャレンジングじゃないかと思っている」と三木谷氏は自信を見せる。「『日本の携帯料金は高かったのね』という気付きがエンドユーザーにも出てきている。料金の関心が高まったのが、逆にプラスに働いているのかなと思う」と、値下げ志向の高まっている現状を追い風と捉えているようだ。
それでも「いまだに『何か裏があるんでしょう?』と思っている人もいる」(三木谷氏)と、まだマスに浸透していないことを課題に挙げる。こうした不安が「徐々に払拭(ふっしょく)されて、クリティカルマスに広まると、『何で楽天モバイル使っていないの?』となる。楽天カードも最初は、(申込数が)1日50件、100件だったが(今では)1万件まで伸びている。使う人がふえるほど安心感が口コミで広がっていく」とユーザー増による相乗効果に期待を寄せた。
エリア構築を急ピッチで進めていることから、設備投資額も増大しており、楽天の第3四半期は287億円の赤字、モバイル事業単体でも433億円の赤字。これは当然ながら未来への投資に位置付けられる。加えて、楽天モバイルの仮想化ネットワークによって設備投資で40%、運用面で30%のコスト削減が可能だとしており、仮想化ネットワークをコンテナ化した「RCP(Rakuten Communications Platform)」を海外キャリアに展開することで、収益化を目指す。RCPについては、既に複数の海外キャリアと商談しており、2021年に契約に至る見込みだという。
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