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名言で振り返る、2020年のモバイル業界 楽天モバイルから5G、料金値下げまで(1/4 ページ)

2020年のモバイル業界は「激動」と呼ぶにふさわしい1年でした。5Gの商用サービスや楽天モバイルの本格サービスが始まり、NTTによるドコモの完全子会社化や政府の強い要請による携帯料金値下げもありました。2020年を振り返る特別企画として、主要なトピックでキーパーソンが発した言葉を振り返っていきます。

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 2020年のモバイル業界は「激動」と呼ぶにふさわしい1年でした。

 3月にNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクが5Gの商用サービスをスタートし、4月に楽天モバイルが本格サービスをスタート。一方で想定外の出来事も。9月にはドコモ口座をはじめとするスマホ決済の不正利用が発覚、NTT持株によるドコモの完全子会社化を発表し、業界に衝撃を与えました。

 政府の強い要請により、携帯キャリアが料金値下げや各種手数料の撤廃に踏み切ったことも大きなトピックでした。12月には、月額2980円(税別、以下同)で20GBのデータ通信を利用できるプラン(ブランド)として、ドコモが「ahamo」、ソフトバンクが「SoftBank on LINE(仮称)」を発表しました。

 今回は2020年を振り返る特別企画として、主要なトピックでキーパーソンが発した言葉を振り返っていきます。

楽天モバイル関連:ついに本格サービスが開始も、想定外の事態に

「ネットワークがスカスカ」(KDDI 高橋誠社長)

 当初予定していた2019年10月から事実上の延期となり、2020年4月に本格サービスをスタートさせた楽天モバイル。大手3キャリアも楽天モバイルの動向には当然目を配っていたはずですが、中でも警戒するコメントを発していたのが、KDDIの高橋誠社長でした。

 1月の決算会見で、楽天モバイルのネットワークを「スカスカ」と表しましたが、これは単にエリアが狭いことを言っているのではなく、サービス開始直後はトラフィックが小さく、電波の干渉が少ないため、ユーザーにとってはむしろメリットにもなり得ることを警戒した言葉でした。

KDDI高橋誠社長
KDDIの高橋誠社長

「日本の携帯料金は高く、データ使用量は先進国の中では少ない」(楽天 三木谷浩史社長)

 楽天モバイルが本格サービスを発表する前月の2月には、「いつ発表するのか」「どんなプランになるのか」が大きな注目を集めていました。そんな中、2月の決算会見で楽天の三木谷浩史社長が「3月3日に発表する」と予告したのです。三木谷氏は「日本の携帯料金は高く、データ使用量は先進国の中では少ない。とにかく、分かりやすい料金設定にしたいと思う」とのヒントを発言。「大容量プラン1つだけなのか」と期待させ、実際、その通りの発表となりました。

楽天三木谷社長
楽天の三木谷浩史社長

「常識を覆す、世界の主要キャリアでは唯一の1プラン」(楽天 三木谷浩史社長)

 そんな楽天モバイルの本格サービスで発表された料金プランは、「Rakuten UN-LIMIT」1つのみ。月額2980円で自社エリアのデータ通信は使い放題、KDDIのローミングエリアは2GBまで(後に5GBに改定)という内容でした。しかも、300万人までは月額料金が1年間無料になります。三木谷氏は、世界の主要キャリアで1プランの提供は例がないことを挙げ、「常識を覆す」とアピールしました。1年間無料の措置も含め、多くの驚きを与えた発表でした。

「われわれの料金を、同じ条件で他社がやるのはチャレンジング」(楽天 三木谷浩史社長)

 政府の携帯料金値下げ要請が強まる中、ソフトバンクとKDDIはサブブランドで4000円前後の20GBプランを発表しましたが、楽天モバイルの2980円には及ばず、11月の決算会見で三木谷氏は「われわれの料金を、同じ条件で他社がやるのはチャレンジングじゃないかと思っている」と強気の発言。しかしその後、ドコモとソフトバンクが2980円の20GBプランを発表したことは、楽天モバイルにとっても想定外だったのではないでしょうか。ここに対して同社がどんな手を打ってくるのか注目です。

「いまだに『何か裏があるんでしょう?』と思っている人もいる」(楽天 三木谷浩史社長)

 楽天モバイルでは、2020年内に300万契約の達成を目標に掲げていましたが、12月30日時点で200万件の申し込みにとどまっています。300万人は1年間無料としているので、早期に300万契約を達成するかと思われましたが、このペースも想定外だったのではないでしょうか。その要因が、三木谷氏の発言につながります。「ただより高いものはない」という言葉がありますが、携帯の契約は複雑な条件が通例となっているので、それがあだとなったのか、1年間無料ゆえに警戒したユーザーも多かったようです。

「新規契約者の大半が楽天のサービスを使っていない」(楽天 三木谷浩史社長)

 楽天モバイル逆襲のヒントは、「楽天経済圏」にあるのかもしれません。三木谷氏は5月の決算会見で「(楽天モバイルの)新規契約者の大半が楽天のサービスを使っていない」と話し、楽天経済圏とのシナジーが十分に発揮されていないことをうかがわせました。つまりまだ連携強化の余地は残されているということです。

 楽天モバイルと同額の月額2980円プランを他社が続々とリリースしたことで、料金面での優位性は薄れつつありますが、楽天モバイルの強みは、楽天ポイントと、それを使える多彩なサービスを提供していること。楽天の常務執行役員 CMOの河野奈保氏が11月の決算会見で「楽天グループのサービスを使えば使うほどメリットがあることを設計しようと思っている。私たちだから提供できるベネフィットがある」と話していた通り、ポイントや楽天サービスとの連携を強化する仕掛けに期待したいところです。

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