ドコモ井伊社長インタビュー(後編):屋内5Gサービスにも意欲、MVNOとの提携ではdポイントが重要に(2/3 ページ)
NTTドコモ井伊基之社長のグループインタビュー後編では、データ通信容量無制限を正式に導入する「5Gギガホ プレミア」や、5Gを使ったサービス、さらに、低容量プランへの見通しなどを明かしている。低容量プランではMVNOと連携していく。“docomo Air”のような屋内向け5G通信サービスにも意欲を見せた。
インフラシェアリングは屋内でやるべき
―― コスト削減に関してですが、インフラシェアリングはお考えでしょうか。
井伊氏 コストにいきなり効いてくることはないと思います。それより、コアネットワークの作りで、増設をどう見るかです。ロングタームで見ると、たくさん打っていかなければいけないのですが、ショートタームで増えてきたら追加で打つように管理しなければいけません。面倒ではありますが、コストをコントロールするにはそういうやり方が必要です。
速度が遅くなってしまっては意味がありませんが、今まで空きになって余っているところもあります。装置によって、空いているところと混んでいるところがバラついている。そういうネットワークコントロール技術が、コストを下げていきます。投資を単純に抑制するのではなく、トラフィックに応じてです。お金がある会社は1年分をバンっと打ってしまいますが、そういうやり方ではダメということです。その適量をどう見るかですね。
インフラシェアリングで申し上げると、まずやるべきは屋内です。オフィスビルやショッピングモールなど、キャリアごとにアンテナを作られては困るというオーナーはたくさんいます。そういうときには共通アンテナです。私が持株にいたときに、JTOWERに2割出資しましたが、これはドコモが出資すると他が使ってくれないので、ホールディングスからということで2割出しました。ドコモも、この会社を使ってシェアシェアリングをしなさいというメッセージです。
MVNOとの提携で鍵を握る「dポイント」
―― ahamoの導入やギガホの改定はありましたが、低容量プランは改定していません。ここは直接値下げで追随しないということでしょうか。
井伊氏 ドコモはサブブランド的なものを持っていないので、ギガライトを3GB、1980円のような価格でやる気はありません。金額が近いギガライトとahamoで(容量に)差があるから意味があるのであり、下げたら、容量差がある意味がなくなってしまいます。むしろ、ギガライトからアップグレードしてもらいたいので、その辺は慎重に考えています。
―― 発表会でもお話があったように、MVNOと組んでということでしょうか。どういった形を想定しているのですか。
井伊氏 どんな組み方があるかというと、やっぱりdポイントです。dポイントの会員基盤に入っていただくことが条件です。僕らがキャパシティー(帯域)を提供している人たちもいますが、そこに限らず、dポイントに加盟していただき、発行していただくことに賛同していただければ仲間になります。
ただし、dポイントには原資も必要です。MVNOは体力がなく、そんなにもうかっているわけでもないので、潤沢にはポイントを出せないかもしれませんが、他で使ってたまったdポイントが支払いに使えるといった構造はあります。そういった形に持っていくのが、連携の意味です。
ドコモショップでMVNOを勧める選択肢も
―― MVNOというと、NTTコミュニケーションズのOCNモバイルONEがありますが、こことの連携も強化されるということでしょうか。
井伊氏 彼ら(NTTコム)はイネイブラー(VNE)にしようと思っています。OCN モバイル ONEは、子会社のレゾナントにやらせる。この前の総務省の委員会にその計画を提出したら、ズルをするんじゃないかと指摘されましたが、そんなことは考えていません。dポイントの効用でMVNOと組めれば、(他のMVNOを)ドコモショップでお勧めしてもいいと思っています。回線卸はルールがあり、透明なのでそんなところでは便宜供与はできない。それより付加価値でどう結び付くかです。ショップでレコメンドしてほしいという声はありましたが、それによって手数料をもらわなくてもいい。そういう経済圏です。
―― 海外のように、ドコモショップにMVNOのSIMカードをつるして売るということもありそうでしょうか。
井伊氏 商品というよりレコメンドを考えていましたが、それはいいアイデアをいただきました(笑)。そいうものも、あり得るでしょうね。
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