ドコモ井伊社長インタビュー(後編):屋内5Gサービスにも意欲、MVNOとの提携ではdポイントが重要に(3/3 ページ)
NTTドコモ井伊基之社長のグループインタビュー後編では、データ通信容量無制限を正式に導入する「5Gギガホ プレミア」や、5Gを使ったサービス、さらに、低容量プランへの見通しなどを明かしている。低容量プランではMVNOと連携していく。“docomo Air”のような屋内向け5G通信サービスにも意欲を見せた。
eSIMもやる、iPhoneが使えなければ話にならない
井伊氏 SIMカードで言えば、eSIMもやります。日本で最初にeSIMをやったのは、うちの「d tab」です。eSIMには、eKYCのような技術で本人性確認がしっかり取れることが大事です。ドコモとして懸念しているのは、eSIMを発行している会社が山ほどあり、その中には正直よく分からない方たちもいるということです。プロファイル情報のクローンを作られてしまうと、なりすましができてしまう。そういうセキュリティをどう担保するかを、研究会で提案しています。決して反対しているわけではなく、むしろやりたいと考えています。
―― eSIMは、まだ対応端末が限られていますが、ahamoでどの端末が使えるのかがまだ分かりません。
井伊氏 うちは(iPhoneに)対応します。悩んでいるのは、もう少し廉価な端末を用意しなければいけないというところです。若い人はお金がない。初めて就職して社会人になり、自分のお給料で払っていくとなったとき、端末はもう少し安い方がいいが、本当の廉価端末では駄目です。人気の端末、と言えば大体分かりますよね(笑)。ああいうものにも適合して、型落ちでも中古でもしっかり使えないと面白くないと思います。iPhoneが使えなければ、話にならないですよね。
まずはメインの端末で、eSIMやタブレットに入れるものにどう対応していくのか。それは考えていきます。
取材を終えて:井伊体制でスピードアップに期待
これまではFWAに消極的だったドコモだが、新体制になり、その考えを大きく変えているようだ。“docomo Air”のようなサービスが登場する日も、そう遠くはないかもしれない。築年数が古い賃貸マンションなど、FTTHで十分な速度が出ない物件もある。リモートワークが増え、回線が混雑しがちなだけに、まさに今、必要とされているサービスといえそうだ。井伊氏が述べていたように、確かにこれまでのドコモは、こうした新サービスに対し、石橋をたたいて渡る節があった。新体制の下で、スピード感を持って提供されることに期待したい。
一方で、小容量プランはMVNOとの連携を強化していく方針。ギガライトの価格改定をすぐに行う予定はないようだ。ただ、KDDIにはUQ mobile、ソフトバンクにはY!mobileがあり、2月から、前者は3GBで1480円、後者は1980円に値下げを行う。ここに対抗するには、ahamoだけではやや力不足になる恐れがある。サブブランドを持たないだけに、他社にない連携策に注目したい。各社の値下げで苦戦を強いられることになりそうなだけに、MVNOの救済策になり得る可能性もありそうだ。
関連記事
- ドコモ井伊社長インタビュー(前編):「ahamo」が他社への流出抑止に、ドコモショップは当面維持する
持株会社による完全子会社化の直後から、NTTドコモは矢継ぎ早に新料金プランを繰り出している。大きな話題を集めたのは、オンライン専用の料金プラン「ahamo」だ。ドコモの変革を掲げる井伊基之社長に、新料金の狙いや今後の見通しを聞いた。 - ahamo契約者も「みんなドコモ割」のカウント対象に 井伊社長「サブブランドではできない」
ドコモの「ahamo」契約者も、家族の回線数に応じて割り引く「みんなドコモ割」のカウント対象になることが分かった。井伊基之社長がグループインタビューで明かした。ahamoの契約者がファミリー割引の対象外になるの以前の案内通り。 - ドコモの激安「ahamo」で携帯業界に激震も、“料金プラン”扱いには疑問
ドコモは若者をメインターゲットに据えた「ahamo(アハモ)」を発表。料金は、20GBのデータ容量に5分間の通話定額が付いて月額2980円(税別)と、他社より低い水準の料金を打ち出した。同じ2980円の楽天モバイルよりも優位性は高い。一方、既存ドコモユーザーの移行は限定的とみられる。 - ドコモの「ahamo(アハモ)」、気を付けるべき点は?
NTTドコモが“新プラン”として打ち出した「ahamo(アハモ)」。従来のドコモのプランと異なる注意点がいくつかあるので、簡単にまとめる。 - auの「povo(ポヴォ)」、気を付けるべき点は?
KDDIと沖縄セルラー電話が、新たな料金ブランド「povo(ポヴォ)」を発表した。まだ決定していないことを含めて、現時点で分かっていることを簡単にまとめた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.