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インタビュー

ahamo対抗プランをいち早く打ち出した日本通信 なぜここまでの値下げが可能なのか?MVNOに聞く(3/4 ページ)

NTTドコモがahamoを発表した翌日に、対抗策の「合理的20GBプラン」を打ち出した日本通信。現時点でのデータ容量は16GBだが、ahamoの導入に合わせて20GBに増量する予定だ。大手3キャリアが大幅な値下げに踏み切る中、日本通信がいち早く対抗策を打ち出せたのはなぜか。

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5分通話定額より70分無料にした理由

―― 合理的20GBプランは月間70分の通話が付いていますが、これはなぜでしょうか。5分定額は難しかったのでしょうか。

福田氏 その話は、FiNCと「Wスマートプラン」という料金プランを出したところにさかのぼります。キャリアから移るとコストダウンになり、なおかつ健康管理もできるということで、これも結構人気があります。彼らはベンチャーで、従業員の平均年齢がかなり若い。彼らと議論しながら、Wスマートプランをどっちで行くのかを決めました。若い人に聞くと、5分の通話定額は、5分という時間を意識しなければいけないのがすごく嫌だと言います。どちらかといえば、月に70分の方がいいということで、Wスマートプランにも70分の音声がついています。

 70分には根拠もあります。総務省の統計では、平均の通話時間が130分ぐらいになっています。130分ということは、発信と着信で割ると、双方が65分になる。ですから、70分あれば平均値はカバーできるという計算です。統計的に言えば、たくさん使う方はもっとたくさん使うので、最頻値の人数では7割を超えるはずです。多くの方は、70分あれば超過料金が発生しないということです。

 逆に、5分間の通話定額だと、ちょくちょく超過料金が発生してしまいます。キャリアの通話料は30秒20円で、原価から見るとかなり高い。合理的に考えると、70分の方がいいということになります。通話については相当分析しました。確かに短い通話が多くなってはいますが、やはり超えるときは超えてしまいます。10分の通話定額ならまあまあの範囲までカバーできますが、5分だと負担が増えてしまう。合理的という名前を付ける上で、こういった合理性を説明できることは重視しました。

通信速度は高いパフォーマンスを維持したい

―― 先ほどデータ通信は将来原価方式で出ている数値をベースに、16GBから20GBに上げるというお話がありましたが、将来原価を見ると、今後も接続料は下がっていく傾向にあります。データ容量は徐々に増えていくのでしょうか。

福田氏 日本通信SIMに関しては、b-mobileからブランドを変え、平均値ではMVNOの中でベストパフォーマンが出ています。いろいろな方が計測していますが、結構いいポジションにはつけています。b-mobileもいいところにはいっていましたが、歴史が長く、パフォーマンスに対するパーセプション(認知)ができてしまっていた。これが、日本通信SIMにブランドを変えた理由の1つです。高いパフォーマンスを提供するようやっていますが、それはずっと維持したいと思っています。接続料が下がることで、それができてきます。

―― 合理的20GBプランの投入にあたり、帯域は増強したのでしょうか。

福田氏 相当増強しています。それがなぜできるかというと、他は音声の原価が高すぎて、データ通信のところで無理をしているからです。1980円でも音声にかかるコストが下がれば、その分、データ通信に見込めるコストは増えます。MVNOの立場では、音声通話があまりにも高いので、勝負しようとしても、データ通信にコストを使えませんでした。われわれは、その問題が解けた。音声を原価ベースで得られるようになったので、基本料がドーンと下がった分をデータ通信に回して増強しています。そういった意味で、パフォーマンスもよくなっています。

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