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Appleの「AirTag」を使うメリット 後発だけど他のスマートタグとはどう違う?(1/3 ページ)

Appleが4月に発売したスマートタグ「AirTag」。スマートタグとしては後発の製品ではあるが、その真価はiPhoneやiPadといったApple製端末と併用したときに現れる。外部アプリではなくOS標準の機能で簡単に設定でき、万一悪意のある人に自分のものではないAirTagを紛れ込まされてしまった際の対策もされている。

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AirTag
4月にAppleが発売したスマートタグ「AirTag」

 4月に発売されたApple初のスマートタグ「AirTag」を使ってみた。本稿では、筆者のインプレッションを交えつつ、AirTagの概要や使い方、注意点、アップデートされた内容などについて、改めてまとめていきたい。

 「紛失防止タグ/トラッカー」や「スマートタグ/トラッカー」などと呼ばれるアイテムは、財布や鍵、カバンなど、特定のアイテムに取り付けたり、収納したりしておくことで、スマートフォンのアプリから位置情報を検索したり、音を鳴らしたりできるIoT機器のことを指す。こうした製品ジャンルは、AirTag登場以前に存在しなかったわけではない。AirTagはむしろ市場において後発だ。

 例えば、知名度が高いブランドとして、「Tile(タイル)」や「MAMORIO(マモリオ)」などを耳にしたことがある(あるいは使っている)読者も多いだろう。他にもさまざまなメーカーが製品を展開しているため、インターネットで「スマートタグ」などと検索すれば、10や20の類似製品はすぐに見つかる。

 製品の形状やタイプによっても価格は異なるが、例えばオーソドックスな「Tile Mate(電池交換版)」は2150円(税込み、以下同)、キーホルダーに装着できる「MAMORIO」は2728円である。一方、AppleのAirTagは単体で3800円(4個入りで1万2800円)となっており、価格設定はやや高い。

AirTag
AirTagは碁石やホワイトボード用の磁石を思わせるシンプルな形状が特徴だ。IP67等級の耐水性能と防塵(じん)性能も備える
AirTag
裏面にはエッジングされたステンレススチールが使われており、Appleのロゴマークなどが刻まれている
AirTag
ステンレススチール部分を指の腹などで押さえて反時計回りに回転させると蓋が外れる。「CR2032」のコイン型電池で駆動しており、1つの電池で1年程度は連続使用が可能とされている。なお、バッテリーが少なくなってくると、ペアリングした端末に通知が届く仕組みだ

 加えて、他社製品はタグ本体に穴が空いていて鍵などにも装着しやすいが、AirTagは碁石のようなつるんとした形状になっており、タグ単体で鍵などに装着することはできない。そのため、必要に応じて固定用のアクセサリーを追加購入しなくてはならず、Apple Stsoreで販売されている最も安いBelkin製のホルダーでも+1580円がかかる。つまり、1個のAirTagを鍵に付けるには3800+1580=5380円が必要だ。この点はまず理解しておきたい。

AirTag
例えば、AirTag Loopに装着した様子
AirTag
AirTagの着脱はカチッと固定するスナップボタンで行う
AirTag
穴を通すことで持ち物に固定できる構造だ

 では、そんなレッドオーシャンにおけるハイエンド商品として登場したAirTagを、消費者が選択するメリットとは――。筆者は、そのメリットは3つあると思う。1つ目は、iPhoneなどApple製品との親和性の高さ。2つ目は、なくしたものの正確な場所が分かること。3つ目は、見つけた人が所有者に連絡をとりやすいという点だ。

初期設定がとても簡単

 1つ目は「Apple製品との親和性の高さ」だ。既にAirPodsシリーズやHomePodシリーズを使ったことがある人ならば想像しやすいだろう。

 具体的には、パッケージを開封し、AirTagの絶縁シート(ラップ)を引き抜いて通電させた状況で、iOS 14.5以上を搭載するiPhoneの画面をオンにして近づける。すると、iPhoneのディスプレイにポップアップで初期設定の操作画面が現れる。そして、画面指示通りに数ステップの操作を行えば、すぐにペアリングが完了する。

AirTag
製品に貼られているラップが絶縁シートを兼ねており、これを隙間から引き抜くことで通電する
AirTag
iPhoneを近づけるとポップアップが表示されるので、「接続をタップ」し、取り付ける製品を選択する。標準では「カメラ」「ジャケット」「バックパック」「ハンドバッグ」「ヘッドフォン」「鍵」「財布」「傘」「自転車」「手荷物」という選択肢が用意されている。また、「カスタム名」を選べば任意の名称を入力することも可能だ
AirTag
「続ける」をタップすれば、設定完了だ。続けて「”探す”Appで表示」をタップすると、探すアプリでどのように表示されるのかをそのまま確認できる

 もちろん、競合他社が出しているスマートタグの類も専用アプリを介して設定するだけなので、そこまで初期設定が煩雑だとは思わない。しかし、それを踏まえても、専用アプリのインストールや、別途アカウント登録などが不要で、OS標準の機能として利用できる――そんなAirTagの初期設定は、開封から使用までのスピード感がスバ抜けている。特に、家族複数人がiOSデバイスを使っているなど、複数個導入する場合、容易に初期設定できるのは魅力的だ。

 なお、AirTagに対応するのは、iOS 14.5、iPadOS 14.5以降を搭載し、2ファクタ認証を有効にしたiPhone、iPad、iPod touchに限られる。購入後、もしうまく設定が行えなかった場合には、端末のOSバージョンや、2ファクタ認証の設定有無、加えてBluetoothや位置情報サービスのオン、オフなどを確認してみるといいだろう。

 ちなみに、AirTagのリセットするには、バッテリーの取り外し操作を繰り返し行えばよい。着脱を4回繰り返し、最後に取り付けるのを合わせて、計5回の通電音が鳴れば良い。

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