Appleの「AirTag」を使うメリット 後発だけど他のスマートタグとはどう違う?(3/3 ページ)
Appleが4月に発売したスマートタグ「AirTag」。スマートタグとしては後発の製品ではあるが、その真価はiPhoneやiPadといったApple製端末と併用したときに現れる。外部アプリではなくOS標準の機能で簡単に設定でき、万一悪意のある人に自分のものではないAirTagを紛れ込まされてしまった際の対策もされている。
セキュリティについて知っておきたいこと
その他、AirTagを購入する予定がない人も知っておきたいこととして、セキュリティに関する基本事項が挙げられる。
まず、前提として、AirTagの通信にはBluetoothが使われている。AirTagそのものにGPS受信機が含まれているわけではなく、周囲に存在するiPhoneやiPadなどの対応機器との接続を利用して位置情報を発信する仕組みだ。例えば、AirTagを遠く離れた街に落として来てしまった場合、その付近にペアリングしたユーザーのiPhone等は存在しない。しかし、通りすがりの人がiPhoneを持っていれば、その端末に接続し、ネットワークを拝借してAirTagの位置情報をクラウド上に送信してくれる。
【訂正:2021年6月15日11時55分 「GPS発信機」を「GPS受信機」に変更しました。】
こうした仕組みは、他のスマートタグでも一般的に利用されているものであり、ユーザーとして恐れる必要はない。AirTagを通してやりとりされる情報は、匿名化かつ、暗号化されるともAppleは説明している。この点で、AirTagのユーザーも、通りすがりのiPhoneユーザーも、プライバシーやセキュリティ面を心配する必要はないといえる。むしろ、タグの発見に他ユーザーを利用するという点で、ユーザー数の多いApple製品のネットワークは非常に心強い存在だ。
一方、位置情報のトラッキング機能が悪用される可能性は、残念ながらゼロとは言い切れないのが現状だ。例えば、悪意を持った者が相手の荷物にAirTagを紛れ込ませるといったリスクは容易に想像できる。ただし、AirTagはこれを見抜く機能も備えている。
具体的には、AirTagを持っていないのに、「あなたが所持中のAirTagが見つかりました」というアラートがiPhoneに表示されたら、身の回りに第三者のAirTagがあることを示しており、危険だ。このセーフティ通知は30分以上他者のAirTagと行動を共にしており、そのAirTagの登録端末がBluetoothで接続されていない場合に表示される。また、Androidユーザーであっても、3日間が経過すれば、先述の通り、自動でAirTagから音が鳴るので、時間はかかるものの存在に気付くことはできる。
Appleの公式ヘルプページの記載によると、その場合は、同通知のメッセージをタップし、「続ける」→「サウンドを再生」をタップするとAirTagから音を鳴らして発見できるとある。また、「AirTagを無効にする手順」をタップし、画面の案内に従うことで、AirTagを無効にして位置情報の共有を停止可能だという。ただし、既に位置情報が知られてしまっている可能性もあるので、安全が脅かされていると感じる場合には、警察などに相談しよう。
先述の「このAirTagについて」画面から、「AirTagを無効にする」という画面が開くので、非ユーザーにも電池を外してオフにする方法は分かるようになっている。ただし、電池を外した場所が最終位置情報となるので、自宅等で操作を行うのは避け、個人情報が分からない場所で電池を外すようにする必要がある
まとめ:総合的な使い勝手は優れている
AirTagの本質は、「簡単に使えてなくしものを見つけやすいスマートタグ」だと思う。iPhoneで簡単に設定でき、iPhone 11以降のユーザーならば、家のなかでなくしたものの正確な場所を判断できる。そして、強力なApple製品ユーザーの「探す」ネットワークを活用して、外出先で紛失した場合もネットワークを活用できる。さらに、プライバシーやセキュリティに対する配慮もある。一方、MAMORIOのように“置き忘れ防止”のための通知機能がない点はやや惜しい。
繰り返しとはなるが、AirTagは1個3800円。スマートタグとしては高額な部類ではあり、機能的に完全無欠というわけではないものの、総合的な使い勝手は非常に優れている。iPhoneユーザーならぜひ購入を検討したいアイテムだ。
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