菅首相が雑誌で「携帯料金は倍の負担減が可能」発言 武田総務大臣の受け止めは?
菅義偉内閣総理大臣が、雑誌で「携帯料金は倍の負担減が可能」という旨の発言を行った。7月30日に行われた武田良太総務大臣の記者会見では、記者からその発言に対する質問があった。
武田良太総務大臣は7月30日、閣議後に定例記者会見を開催した。この会見で、菅義偉内閣総理大臣が雑誌のインタビューで「(携帯電話料金は)さらに倍の負担減が可能」と答えたことに関する質疑が行われた。
菅首相はどんな発言をした?
菅首相の発言は、飛鳥新社が刊行する雑誌「月刊Hanada 2021年9月号」に掲載された「菅義偉総理大臣 国民の疑問に答えます」というインタビューの中にある。
インタビューでは、聞き手が「総理就任から数々の成果を上げてきたにも関わらず、メディアは批判ばかりで嫌にならないか?」という旨を質問したことに対して、菅首相がその「成果」について回答している。
菅首相は、携帯電話市場において大手3社の寡占状態が続いてきて、諸外国よりも高い料金となっていたと指摘した上で、携帯電話料金の値下げは「総理として国民にお約束したことでもあり、すぐに実行しました」とした。
さらに年換算で4300億円の負担が減ったという総務省の試算結果に触れつつ、以下のような発言を行った。
ですが、私はまだまだこんなものではなく、さらに倍の負担減が可能だと思っています。あくまでも道半ばです。
この節は「(首相が細かいことをやるなと批判されることに対して)細かいことと批判されようと、国民にとって大切なことはしっかりやり遂げます」という回答で締めくくられている。
武田総務大臣の受け止めは?
この発言を、通信全般を所管する総務省の長である武田総務大臣はどう受け止めたのだろうか。
記者 菅総理大臣が雑誌のインタビューで「さらに倍の負担減が可能だ」「道半ばだ」というお話しをしておりました。こうしたお話しは大臣には来ているのでしょうか。総務省として、どう対応するのかお聞かせください。
武田大臣 コロナ禍で家計の苦しい状況が続く中、(菅)総理は家計の負担をいかに軽減していくかということを、携帯電話料金のみならずあらゆる分野でお考えになり、我々に指示を出しているというのが現実です。
この(携帯電話の)低廉化については、公正な競争環境(の構築)やメニュー(プランや契約条件)の中身を分かりやすくするといったように、いろいろな手を打ってきました。現在は、過去に比べれば競争が活発になっていると認識しています。
国民の皆さんによる(キャリアの)乗り換えも進んできていて、各社から提供される新しい料金プランへの加入者数は、5月末時点で1570万件となっており、国民の負担額を資産すると年間ベースで約4300億円に登っています。乗り換えを検討する人も一定程度おり、そのような方々の乗り換えが進めば、負担軽減はさらに進むと考えています。
いずれにしても、我々としては、広く国民が携帯電話料金の低廉化の恩恵を実感できるように、利用者の乗り換えを円滑化するための取り組みを進め、合理的な選択を実現するための公正な競争環境の整備に取り組んでいきたいと考えています。
現時点では、従来からの取り組みを継続して進めていく考えのようだ。
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