楽天グループが新組織「Rakuten Symphony」を立ち上げ 通信プラットフォーム事業を集約
楽天グループが、楽天モバイルなどグループ企業に分散している通信プラットフォームに関する事業を統合する組織「Rakuten Symphony(楽天シンフォニー)」を立ち上げた。世界各地で、完全仮想化モバイルネットワークを始めとするOpen RANインフラストラクチャの開発/提供態勢を整える。
楽天グループは8月5日、Open RANインフラストラクチャに関する新しい事業組織「Rakuten Symphony(楽天シンフォニー)」を立ち上げたことを発表した。楽天モバイルや米Altiostar Networks(アルティオスター)、米Innoeye(イノアイ)などグループ各社に分散している製品やサービスを、世界の通信事業者や企業、政府機関向けに一括して提供できる体制を整えることが目的としている。CEO(最高経営責任者)には、楽天グループと楽天モバイルでCTO(最高技術責任者)を務めるタレック・アミン副社長が就任する。
Rakuten Symphonyがカバーする事業領域は以下の通り。
- インターネットとエコシステムに関するサービス
- デシタルエクスペリエンス(DE)
- インテリジェントオペレーション
- ネットワークファンクション
- 統合クラウド
この組織には、Innoeyeや楽天モバイルにおけるモバイル技術に関する研究開発組織、通信サービスの販売/マーケティング組織も統合される。
Rakuten Symphonyに関する説明会で示された「Rakuten Communications Platform(RCP)」に関するスライド。これを見る限り、Rakuten Symphonyの本拠地はシンガポールに置かれるようだ。米大陸や日本、シンガポールに加えて、「アジア太平洋」「ロシアとCIS(独立国家共同体)」「中東とアフリカ」「ヨーロッパ」にも拠点を設ける計画でもあるようだ
ドイツ1&1と長期パートナーシップを構築
楽天グループは同日、ドイツの通信事業者「1&1」とモバイルネットワーク構築に関する長期的なパートナーシップを締結することに合意したことを発表した。
1&1はドイツUnited Internetのグループ企業で、現在自社モバイルネットワークの構築を進めているという。それに際して、同社は楽天グループのOpen RANインフラストラクチャ「Rakuten Communications Platform(RCP)」を包括的に採用し、ヨーロッパ初の完全仮想化モバイルネットワークを構築していくという。
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