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5Gミリ波の到達エリアを広げる反射板 DNPが開発
大日本印刷は5Gで使用するミリ波を自在な方向に反射させ、ミリ波の到達エリアを拡げる電波反射板(リフレクトアレイ)を開発。多様な場所に設置でき、表面のデザインカバー層にはさまざまな絵柄を印刷できる。
大日本印刷(DNP)は、8月31日に5Gで使用するミリ波を自在な方向に反射させ、ミリ波の到達エリアを拡げる電波反射板(リフレクトアレイ)の開発について発表した。
5Gで使われる高周波のミリ波は、直進性が高く到達距離が短いため、建物の陰などのエリアでは電波が遮られ、通信品質を確保しにくいという課題がある。この課題を解決すべく、電波反射板を開発。この板は、以下3つの層で構成される。
- 所定の周波数帯を選択的に反射して、それ以外の電波を透過する層「周波数選択反射層」
- 入反射する電波の方向を決める特殊な誘電体層「反射方向制御層」
- 耐久性を備えた「デザインカバー層」の3層
電源は不要で、電波が届きにくい建物の陰など多様な場所に設置できる。
電波を鏡のように正反射する金属反射板とは異なり、特定の周波数の電波を非対称に反射させることが可能。反射する周波数帯、基地局から受ける電波の入射角、電波を届ける反射角、反射波の広がり方を自由に設定できる。
対象周波数帯以外の電波は透過させるため、既存電波への影響を軽減。反射波の広がり方はあらかじめ調整できるため、反射波を広いエリアへ届ける、特定の装置等へ反射波を集めるといったことができる。デザインカバー層にはさまざまな絵柄を印刷でき、周辺環境を考慮したデザインも可能としている。
電波環境の劣化が予想される、電波遮蔽(しゃへい)物の裏側や屋内、展示会場、競技場、アミューズメント施設、市街地ビルなどでの設置を想定している。通信キャリアを含めた各種通信関連会社と機能検証などを進め、2023年度からの実用化を目指す。
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