夏のハイエンドスマホ4機種で撮り比べ(後編):人物や夜景の撮影に強いモデルは?:荻窪圭の携帯カメラでこう遊べ(3/3 ページ)
2021年夏に発売されたハイエンドスマホのカメラ機能を確かめる連載の後編だ。今回は「人を撮る機能」と「夜景」の撮り心地を確認する。どの端末も使い勝手の異なるカメラ機能を持ち、撮影した画像の色味もかなり違う。
カメラアプリの使い勝手がいいのは?
最後に、カメラアプリの話と各機種の特徴をまとめておきたい。
AQUOS R6
カメラアプリはAIをオンにしておけば特に困ることはないが、撮影倍率変更のアイコンが「タップすると順繰りに切り替わる」方式で、起動したときは必ず広角なので、超広角で撮るには2回タップしなきゃいけない。また切り替わりも(シングルカメラなのに)ちょっと間が空く。それは残念な点。
また、全体のレスポンスがよくない。時々遠景を撮ろうとしているのに「もう少し離れて撮影してください」ということがあるなど、AF回りが不安定なことがある(うまくいくときはすっと合うんだけど)など、ちょっとこなれていない感があるのが残念。タッチAFをうまく使うといい。アプリ回りは改善の余地アリかなあと思う。
Xperia 1 III
今回はできるだけ条件をそろえるってことでBASICモードで撮ったけれども、Xperia 1 IIIの醍醐味(だいごみ)は、やはり「Photography Pro」ならではの撮影モードだ。
BASIC以外のモードにすると、画面の右側がコンソールになり、細かな撮影設定をさっと行える。これはすごく使いやすい。このモードのときは側面にあるシャッターボタンを押して撮影する必要がある、縦位置撮影用のデザインがないなど気になるところもあるけれども、これは便利。
特に連写したりAFモードを切り替えたりはよいし、AF-CモードにしてAF-ONをタップするとリアルタイムAFが威力を発揮してくれる。被写体追尾AFも優秀だし、動物瞳AFもできるしで、AF回りはXperia 1 IIIが一番優秀だ。
写りもデジタル一眼ほどナチュラル系ではないけど、一般のスマホカメラほど派手じゃなく、バランスがよい画作りだし、カメラを知っている人には非常に操作しやすいインタフェースだし、実質クアッドカメラといっていいし、カメラっぽく使いたいならこれがイチオシだ。
Galaxy S21 Ultra 5G
Galaxyで一番気に入っているのはガイド機能。分かりやすい水準器に、自動的に最適な構図をガイドしてくれるのは、デフォルトでオンになっていてもいいと思う。うざいと思ったらオフにすればいいのだし。
もう1つは0.6xから100xまでボタンが出て、好きな倍率にさっと設定できること。このへんの操作が簡単なのはいい。
今回は触れられなかったが、1回の撮影で動画やフィルターをかけた写真を自動的に作ってくれるシングルテイクも面白い。でもまあ、何といっても、今回の4機種の中で一番の広角(13mm相当)で、一番の望遠(240mm相当)で、一番マクロ撮影に強いという、近くから遠くまで、超広角から超望遠までイける幅広さは随一なのだった。画質の安定感もあり、1台で何でも撮りたい、というのならこれが一番というクアッドカメラっぷりだ。
Find X3 Pro
AIをオンにしたときに認識するシーンの数が多いことや、風景を撮ろうとすると「超広角レンズを試してみましょう」とガイドが出るあたりの親切さが特徴だ。
さらに特殊すぎて紹介しづらい「顕微鏡」カメラにもここで触れたい。レンズ前2〜3mmという超至近距離専用カメラで、日常的に使うかといわれれば微妙だけど、めちゃ遊べる。
何しろ、30xと60xである。レンズ周りにLEDライトが仕込まれているので、このように黒いものを撮ってもちゃんと写る。で、これは何を撮ったのかというと、ウレタンマスク。顕微鏡カメラで撮るとこんななのだ。
全体としては、デュアルフラグシップカメラにして、超広角と広角の両方で同じ画質を得られるのは日常的にありがたい。特に風景をよく撮るとか、室内で超広角で撮るときなどは重宝する。
AIシーン強化をオンにすると、HDRかかりまくるわ、色は派手にこってりでるわ、東京の空だかカリフォルニアの青い空だか分からないくっきりした青空にしてくれるわで、画作りには好き嫌いが出そうだけど、これはこれでアリだ。
以上、4機種を基本画質を中心にじっくり見てきた。これだけいえるのは、このクラスになるとどれも高画質であるが、その上で各機種とも個性を載っけてきていて、実に選びがいがあって面白いってことだ。
モデル:長谷川実沙
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