リセールバリューの高いiPhoneがお得に “残価設定プログラム”で変わるスマホの買い方:石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)
9月24日に販売が始まるiPhone 13シリーズの予約開始に先立ち、大手キャリア各社が新たな販売方法を導入している。ドコモは約2年半前に導入した「スマホおかえしプログラム」を刷新して「いつでもカエドキプログラム」を導入。今まで以上に端末の“リセールバリュー”を意識した買い方が求められるようになってくる。
リセールバリューを意識した買い方が主流に? 残価設定型プログラムの与える影響
逆にソフトバンクや楽天モバイルは、旧来型の仕組みを踏襲した。割賦を48回で組み、端末を返却するとその内の最大24回を免除するというのが、2社に共通する仕組みだ。iPhoneの場合、2年後の残価はおおよそもともとの本体価格の半額程度に設定されていることもあり、ドコモやKDDIと大きな差はない。例えば、ソフトバンクのiPhone 13 128GBは本体価格が11万5920円で、トクするサポート+を適用すると、5万7960円まで支払い額を軽減できる。楽天モバイルは、本体価格を4社で最安に抑えているため、本体価格9万8800円、「楽天モバイルiPhoneアップグレードプログラム」適用時で4万9392円だ。
残価設定型と異なるのは、2年間使ったときの価格が本体価格をもとに、自動で決まってしまうところにある。iPhoneのようにリセールバリューが高い端末はいいが、一般的に下取り価格の下落が速く、下落幅の大きいAndroidに関しては、キャリア側の“持ち出し”が多くなりそうだ。逆に残価設定型の場合、ニーズの少なそうなAndroidスマートフォンは、市場価格に鑑みて残価を抑えることができる。Androidのスマートフォンを買うユーザーにとってはソフトバンク/楽天モバイル方式の方がいいが、キャリアの負担が大きくなる分、本体価格に跳ね返ってくる可能性もあり、悪循環に陥る恐れもある。
そのため、現状の仕組みがそのまま続くかは不透明だ。48回割賦の半額を免除するソフトバンクや楽天モバイルも、今後、残価設定型に移行する可能性はあるとみていいだろう。残価設定型が主流になると重要視されるのが、端末の「リセールバリュー」だ。1年後ないしは2年後に予想される下取り価格が高ければ高いほど、ユーザーの負担額は抑えられる。2年後の残価が3分の1になる端末より、半額で下取りされる端末の方がそこに至るまでの支払いが安くなるからだ。
リセールバリューは、やはりグローバルで流通していて、かつ人気が高く、中古市場に流通していない端末ほど高くなる。この条件に当てはまるのは、グローバルで仕様が(かなりの程度まで)共通しているiPhoneだ。実際、残価設定型プログラムを以前から提供していたKDDIを見ると、傾向としてAndroidのスマートフォンよりiPhoneの方が高く下取りされていることが分かる。
例えば、先に挙げたようにiPhoneは2年後の残価が本体価格の半額に近いが、ハイエンドのAndroidスマートフォンである「Xperia 1 III」は本体価格が17万8000円なのに対し、設定されている残価は7万9560円と大きな開きがある。夏モデルでは、同様にOPPOの「OPPO Find X3 Pro」も、本体価格12万2095円に対し、残価は5万4360円と半額以下。本体価格の高く、残価が低いとその分毎月の支払額が上がってしまうことになる。
ドコモは残価設定型プログラムを始めたばかりのため事例が少なく、一般化するのは難しいが、サムスンの「Galaxy Z Fold3 5G」は23万7600円の本体価格に対し、残価が9万5040円に設定されている。KDDIより差分は少ないものの、やはりiPhoneよりは本体価格と残価の差が大きい。ある程度負担を抑えつつ端末を使おうと思ったら、2年後のリセールバリューを意識せざるをえなくなるというわけだ。結果として、ユーザーが選ぶ端末が変化する可能性もある。特にもともとの価格が高いハイエンドモデルに対する影響は大きく、競争の環境が変化していくことになりそうだ。
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