独自プロセッサ×高画素カメラの効果はいかに? 「Pixel 6 Pro」全力レビュー(前編)(2/3 ページ)
Googleの新スマートフォン「Pixel 6シリーズ」の上位モデル「Pixel 6 Pro」は光学ズーム付きカメラを初搭載している。独自開発プロセッサ「Tensor」との組み合わせはいかほどのものか、チェックしていこう。
超広角から20倍望遠までオールマイティに撮れるカメラ
Google Tensorの処理性能を最も生かせる機能は、やはりカメラだろう。
Tensorは機械学習ベースのAI(人工知能)の処理パフォーマンスを高める工夫がなされている。このことが、露出判定、超解像ズーム、被写体検出など、カメラ撮影のさまざまな部分で生きるのだ。
Pixel 6 Proのアウトカメラは「超広角」「広角」「望遠」のトリプル構成で、メインカメラは広角となる。広角カメラを基準とした場合のズーム倍率は、超広角カメラが0.7倍、望遠カメラが最大4倍となる。望遠カメラはPixel 6にはない“Pro限定”要素となる。
広角カメラのセンサーは約5000万画素でサイズは1/1.31インチ、望遠カメラのセンサーは約4800万画素でサイズは1/2インチとなっている。どちらもスマホ用カメラとしては大型のセンサーで、カメラの“物理的”な画質改善に大きく貢献している。
いくつかのシーンでPixel 6 Proのカメラを他のスマホと使い比べてみたが、特に秀でていると感じたのが、ホワイトバランスの制御とデジタルズームの画質だ。
ホワイトバランス制御の優秀さは、レストランなど暖色系の室内光が使われている空間で撮ってみると分かりやすい。暖色系の室内光の下では、写真は全体的にオレンジ色に寄った配色になりがちである。しかし、Pixel 6 Proでは白系色の皿の色味を適切に捉えていた。色味を過度に強調することもなく、自然な印象の写りとなる。
カメラアプリでは、従来モデルと同様に「明部」と「暗部」の露出を別々に設定できる仕様だ。Pixel 6シリーズでは、それに加えて色温度を調整できるスライダーも追加されている。
デジタルズームは、AI処理を併用した「超解像ズーム」を使うことで最大20倍相当の撮影に対応する。先述の通り望遠カメラは画素の多いセンサーを採用しているが、それも奏功してズーム撮影時の解像感は、従来モデルよりも頭一つ抜けて高い。
Google自身は大きくアピールしてはいないものの、実際に使ってみて驚いたのが接写時の写りだ。Pixel 6 Proの望遠レンズは、近くの被写体を鮮明に描写する。
4倍ズームで小さなカスミソウを撮ってみたが、しっかりピントが合う。ボケ感も強すぎず、自然な印象だ。
夜景モードでは、手持ちでもシャッタースピードを抑えつつ、ブレが少ない写真を撮影できる。2〜4倍程度にズームしても、十分に見ごたえのある写真に仕上がる印象だ。
気になる点もある。高倍率ズームを使用した際に、ゴーストが北斗七星のように点々と入るのだ。望遠レンズは、ペリスコープ(潜望鏡)構造を採用しているため、それに由来する現象だと思われる。
……のだが、興味深いことに、実際に撮影した写真(静止画)では、ゴーストがほぼ一掃されている。合成処理によってゴーストを除去しているのだろう。一方で、動画撮影では、このゴーストはどうしても入り込んでしまうようだ。
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