ドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天の年頭所感 コロナ禍が続く中、5G普及に向けてどう動く?
NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天の社長が2022年の年頭所感を発表した。2021年は新型コロナウイルス感染症の流行が続き、デジタル化(DX)やリモートワーク、テレワークの推進にモバイル回線が利用されることもあり、DXを担うとうたった5Gの普及に課題も見えてきていた。
NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天の社長が2022年の年頭所感を発表した。
2021年は新型コロナウイルス感染症の流行が続き、デジタル化(DX)やリモートワーク、テレワークの推進にモバイル回線が利用されることもあり、DXを担うとうたった5Gの普及に課題も見えてきていた。
3月にドコモ、KDDI、ソフトバンクが新プランの「ahamo」「povo」「LINEMO」を発表してからはモバイル業界全体での価格の見直しも起こり、料金競争も活性化した。こういった2021年の動きを踏まえ、2022年のMNO4社はどういったサービスを展開していくのか。
NTTドコモ:グループ3社でよりよいサービスを展開
ドコモは2021年を「新しいドコモ」への挑戦の年として、「あなたと世界を変えていく。」というブランドスローガンを発表していた。
1月1日からNTTコミュニケーションズとNTTコムウェアがグループ会社となり、営業開始30周年を迎える節目の年でもある2022年を「新ドコモグループ始動の年」と位置付ける。どのような未来を作るかを新たな仲間とともに計画し、実現に向けて前進する1年にするという。
グループ3社の機能統合により、全ての法人に対する自社だけ(ワンストップ)でのサポートや、より高品質で経済的なネットワークの提供、サービスの創出/開発力の強化とDXの推進などを実現し、よりよいサービスの提供を通じて社会に貢献するとしている。
KDDI:新たな3カ年計画を設定しライフデザイン企業へ変化
KDDIは2020年から続くコロナ禍によって同社の事業を取り巻く環境が変化しているとして、その要因に個人の生活やビジネススタイルの変化によるデジタル化の加速、SDGsに向けた取り組みを重視した経営の実践を挙げている。
これらを踏まえ、KDDIが3カ年計画を新たに設定する年でもある2022年に「ユーザーに1番身近に感じてもらえる会社」を実践し、社員の成長につながる新しい人事制度の浸透と定着を図るとともに非通信領域への事業を拡大し、「真のライフデザイン企業への変革」を実行するという。
事業展開については、2021年から掲げている「ずっと、もっと、つなぐぞ。au」のスローガンのもと、鉄道や商業地域といった生活地域へ重点的に5Gエリア化を進める。またパートナー企業とともに人ともの、ことに渡る事業はサービスを創出し、ユーザーの期待を超えるサービスを提供するとしている。
経営基盤の強化について、「KDDI版ジョブ型人事制度」「社内DXの推進」「KDDI新働き方宣言」といった改革を進化させ、大きな転換期にあるという会社と社員の関係において働きがいを持てる環境や機会を積極的に提供する。同社を「人財ファースト企業」として、多様な領域で専門性と人間性を兼ね備えた人材を育成する。
ソフトバンク:5G通信に加えデジタルツインやメタバースを強化
ソフトバンクは2021年4月に宮内謙氏から宮川潤一氏へ社長を交代。携帯電話料金の値下げなどの事業環境の変化に直面しつつも、通信事業の持続的な成長を図るとともに通信以外の領域への事業拡大を目指してきた。
コンシューマー向けには複数のプランや5G対応スマートフォンの提供、5G通信エリアの拡充、ヤフーやPayPayとの連携を推進。法人向けには課題解決やDX支援のための技術提供やアジアの通信事業グループAxiataとの提携などを行ってきた。技術面ではあらゆる産業のデジタルサービス向けプラットフォームの構築/整備の他、5Gの実証実験、地方でのDX推進支援を担う拠点の設立などに取り組んだ。
ソフトバンクは現在の世界状況を「第4次産業革命」と位置付け、5G通信やAI搭載プラットフォーム、DX技術、デジタル化のノウハウなどを提供する。加えて2021年から本格的に力を入れていたデジタルツイン/メタバースを「新しいサービスやビジネスモデルを生み出す源泉」として、ソフトバンクが提供する立場を担うという。
「デジタルの社会実装」の点では、通信インフラのエネルギー消費の増大も予想。環境負荷を低減するため、データの分散処理やクリーンエネルギーの活用を通して社会全体のエネルギー需給バランスを最適化する。
楽天:グループ内システムとの相乗効果を強める
楽天グループの設立25周年を迎え、楽天モバイルはユーザー同士でつながる「完全仮想化クラウドネイティブモバイルネットワーク」による通信サービスを提供。グループ内システムとの相乗効果が大きく、今後も同じようなサービスを強化する。
持続可能性への取り組みの重要性が増す中、グループ全体の事業活動で使用する電力の100%を再生可能エネルギーにする取り組みに注力する。
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