2022年のスマホはどうなる? 2万円台と超ハイエンドの二極化、フォルダブルに普及の兆しも:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)
2021年のスマートフォンは、2万円台のエントリーモデルと超ハイエンドモデルの二極化が進んだ。機能面では、カメラの高画質化が進み、動画撮影に対しても新たなアプローチが取られた。2021年に発売されたスマートフォンの動向を振り返りつつ、2022年の端末市場を展望していく。
振り返ってみると、2021年はスマートフォンの二極化が進んだ1年だった。主にフィーチャーフォンの巻き取りや、若年層をターゲットにした2万円台の端末が急伸する一方で、“超ハイエンドモデル”とも呼べる20万円以上の端末も続々と登場。これまでのスマートフォンにはない独自機能で差別化を図った。「Galaxy Z」シリーズに代表されるフォルダブルスマートフォンも、後者のトレンドを作った端末の1つだ。
機能面では、カメラの高画質化が進み、動画撮影に対しても新たなアプローチが取られた。Googleの「Pixel 6/6 Pro」に代表されるように、機械学習の活用も進み、撮影以外の応用例が生まれつつある。同モデルは独自開発のSoCとなる「Tensor」を搭載していたが、半導体レベルでの差別化も進んだ。ここでは、2021年に発売されたスマートフォンの動向を振り返りつつ、2022年の端末市場を展望していく。
エントリーモデルが拡大、バリエーションが増える2万円台のスマホ
2021年を象徴するトピックとしてまず挙げておきたいのが、エントリーモデルの広がりだ。中でも価格が2万円前後の端末が増え、売れ筋になることも増えた。ソフトバンクが2021年2月に独占販売を開始したXiaomiの「Redmi Note 9T」は、その先駆けともいえるモデル。ソニーも、ドコモが発売した「Xperia Ace II」で大きくシェアを伸ばし、Androidスマートフォンのメーカーとして、2021年度上期のトップシェアに返り咲いた。
Xperia Ace IIは4Gモデルとして発売されたが、エントリーモデルにも5Gは拡大している。上記のRedmi Note 9Tは、その1つ。同様に、XiaomiはKDDIともタッグを組み、auやUQ mobileから「Redmi Note 10 JE」を投入しているが、こちらも2万円台ながら5Gに対応したエントリーモデルだ。エントリーモデルは、価格を抑えながら一定のスペックを満たしていなければならないため、特定のキャリアと手を組むケースが目立つ。これは、ある程度の規模感を出すためとみていいだろう。
- →「Redmi Note 9T」はなぜソフトバンク独占販売に? Xiaomiの端末戦略を聞く
- →より“深いカスタマイズ”でKDDIと共同開発 Xiaomiに聞く「Redmi Note 10 JE」の狙い
以前の連載でも触れたが、こうした端末が伸びている背景にあるのが、「端末割引規制」と「3Gの停波」だ。前者は、2019年10月の電気通信事業法で改正された割引規制で、現状でも契約が伴う場合の割引が2万1000円までと定められている。2万円台の端末であれば、割引を上限まで適用すれば、限りなく0円に近づける。KDDIの3G停波が3月に迫り、フィーチャーフォンからスマートフォンへの買い替えを意識するユーザーが増えているのも、エントリーモデルが拡大している理由だ。
割引の上限は変わらず、KDDIの後にはソフトバンクやドコモの3G停波が控えているため、エントリーモデルが重視される動きは、2022年以降も続いていくはずだ。その証拠に、1月15日には、auとUQ mobileからシャープのエントリーモデル「AQUOS wish」が発売される。価格は2万円台後半。「AQUOS sense」シリーズでシェアを拡大していたシャープだが、上述の通り、2021年度上期はソニーに首位を奪われている。AQUOS wishの投入で、この流れに歯止めをかけられるのかは注目しておきたいポイントといえる。
ただ、投入できるコストが限られていることもあり、エントリーモデルはスペックが横並びになりがちだ。おサイフケータイや防水といった日本市場向けの仕様も行きわたりつつあり、差別化の要素にはなりづらくなった。ボディーに再生プラスチックを採用し、SDGsを全面に打ち出したAQUOS wishのように、企画そのものの切り口を変えていく必要もありそうだ。ブランド力をつける上では、ハイエンドモデルでメーカーとしての特徴を明確にしていくことも求められる。
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