2022年のスマホはどうなる? 2万円台と超ハイエンドの二極化、フォルダブルに普及の兆しも:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
2021年のスマートフォンは、2万円台のエントリーモデルと超ハイエンドモデルの二極化が進んだ。機能面では、カメラの高画質化が進み、動画撮影に対しても新たなアプローチが取られた。2021年に発売されたスマートフォンの動向を振り返りつつ、2022年の端末市場を展望していく。
ハイエンドモデルはカメラの進化に注目、機械学習の活用も進む
エントリーモデルが相次いで登場した一方で、ハイエンドモデルの価格レンジも広がり、従来のスマートフォンの枠に収まらない端末が注目を集め始めている。
カメラに関しては、デジカメと同等のセンサーを取り込みつつ、スマートフォンの処理能力で高画質を実現する動きが目立った。その先駆けとなったのが、シャープの「AQUOS R6」と同モデルをベースにしたライカの「LEITZ PHONE 1」だ。2機種とも、1型センサーを搭載しているのが最大の特徴。焦点距離19mmの超広角レンズのみで全画角をカバーする仕組みも、これまでのスマートフォンとは真逆といえる。
1型センサーは、12月に登場したソニーの「Xperia PRO-I」にも搭載された。Xperia PRO-Iは、1型センサーをダイナミックレンジの拡大や感度の向上に活用。画素数は「Xperia 1 III」などと同じ1220万画素のため、写真の精細感が向上したわけではないが、AF/AEを追従させながら秒間20コマの連写ができたり、瞳AFで素早く被写体の目にピントが合ったりといった特徴は受け継いでいる。αに搭載される「フロントエンドLSI」で画像処理を行っているのも、この端末ならではだ。
静止画に加え、動画撮影を重視するメーカーが増えたのも2021年のトレンドといえる。中でも注目を集めたのが、Appleの「iPhone 13」シリーズに搭載された「シネマティックモード」。これは、動画撮影時に背景ボケを生み出せる機能で、ボケやピントの位置は後から編集することもできる。“Pro”の名を冠した「iPhone 13 Pro」や「iPhone 13 Pro Max」は、アップデートで「ProRes」フォーマットにも対応し、本格的な動画編集を可能にした。
シネマティックモードはデュアルカメラの「iPhone 13」や「iPhone 13 mini」でも利用できるが、これはAIの力を活用しているからだ。これに対し、GoogleのPixel 6シリーズでは、AIを撮影以外にも応用。オンデバイスで利用可能な音声入力や、ボイスレコーダーの日本語文字起こし機能などに対応し、スマートフォンの新たな可能性を切り開いた。自社で設計したプロセッサの「Tensor」が、こうした機能を下支えしている。
SoCの中の一部半導体を、自社設計に切り替えるメーカーは増えている。画像処理をフロントエンドLSIに任せるXperia PRO-Iも、その一例といえる。また、OPPOはNPUに特化した「MariSilicon X」を開発し、12月の自社イベントで発表した。MariSilicon Xは、2022年に発売されるフラグシップモデルに搭載される予定で、カメラ機能の底上げが期待できる。1型クラスのセンサーとプロセッサレベルでの差別化は、ハイエンドモデルにおけるトレンドになりそうだ。
関連記事
- 一人勝ちのahamo、楽天モバイルの逆襲 2021年の“携帯料金競争”を振り返る
2021年の携帯料金競争で話題を集めたのが、ドコモ、au、ソフトバンクのオンライン専用プランだった。ユーザー獲得ではKDDIのUQ mobileや、ソフトバンクのY!mobileが健闘した。楽天モバイルも料金を改定して、0円からの「Rakuten UN-LIMIT VI」で支持を集めた。 - 2万円台の“エントリースマホ”が増えている理由 割引でほぼ0円、3G停波の影響も
シャープ、サムスン電子、ソニー、FCNTなどからエントリースマホが続々と登場している。こうした端末が増えた背景にあるのは、2019年10月の電気通信事業法改正だ。フィーチャーフォンからスマートフォンに乗り換える機運が高まっていることも関係している。 - Xperiaが国内Androidシェア1位に躍進した理由 「ミッドレンジが好調」だけにあらず
2021年度上期の国内スマートフォンシェアでソニーが2位に上昇した。「Xperia 10 III」「Xperia Ace II」といったミッドレンジモデルの販売が非常に好調であることが大きな要因だという。赤字続きだったモバイル・コミュニケーション事業も2020年度は黒字に転換している。 - 「価格だけで勝負しない」 シャープが新スマホ「AQUOS wish」を投入する狙い
シャープがスマートフォンの新シリーズ「AQUOS wish」を2022年1月中旬以降に投入する。最小限の機能に絞ったエントリーモデルだが、価格だけで勝負をするわけではないという。「シンプルであるべき」「モノを持ちすぎない」という新しい価値観に応えることを目指した。 - 歴代で最も買いやすい折りたたみスマホに 「Galaxy Z Fold3 5G/Z Flip3 5G」の狙い
新たに発表した「Galaxy Z Fold3 5G」と「Galaxy Z Flip3 5G」は、2020年のモデルから価格を引き下げ、利用シーンを広げる防水に対応。日本ではフォルダブルスマートフォンとして初めておサイフケータイに対応する。日本での戦略もグローバルと同じで、フォルダブルのメインストリーム化を狙う。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.