日本通信が7年ぶり黒字へ、好調の要因は“音声通話”の強化 福田社長に聞く:MVNOに聞く(4/4 ページ)
日本通信が新ブランド「日本通信SIM」のもとで、2020年7月から次々と新サービスを打ち出している。2021年12月にはデータ通信20GBに音声定額を付けたサービスを開始。モバイル通信といえばデータ通信に注目が集まりがちな中、なぜ日本通信は音声通話を売りにしたサービスを展開しているのか。
エコノミーMVNOは本末転倒だと思う
―― 昨年(2021年)の動きで言うと、ドコモがエコノミーMVNOを始めました。日本通信は参加されていませんが、一次MVNOということでドコモから声がかかったと思います。こちらに関しては、どうお考えでしょうか。
福田氏 僕の感覚で言うと、ARPU(1ユーザーあたりからの平均収益)を下げたくないためのIR対策なのではないかと思っています。ニーズがあり、低価格で提供したいという思いはある一方で、ドコモ自身がやるとARPUが下がってしまう。かつ、エコノミーMVNOでMVNOと一緒にやっていくというポジションも築けます。
―― 打診はあったのでしょうか。
福田氏 ありました。ただ、これは本末転倒だと思っています。Apple在籍時にも経験したように、最大のコストは販売部分で、それをドンと下げる施策を打ってから回復しました。キャリアの財務諸表を分析すればすぐに分かりますが、販売店に落としているコストが非常に大きい。次がネットワークコストです。販売にコストをかけすぎているのが最大の問題で、もっとたたくべきところにもかかわらず、そこに乗っかってMVNOが回線を売るという判断は理解できません。
取材を終えて:5Gサービスでどんな手を打ってくるのか注目
音声通話の準定額や完全定額を軸に料金プランを拡充してきた日本通信だが、その狙いは主回線の乗り換えを促進するところにあった。福田氏の話を聞く限り、もくろみ通り、収益性も改善していることが伺える。音声卸の値下げを勝ち取れたことが、日本通信にとって大きかったようだ。
5Gは未提供だが、帯域課金以外の道を模索していることも分かった。トラフィックが増えると機能しづらい仕組みだっただけに、その先駆けともいえる日本通信が次にどのような手を打ってくるのかは注目しておきたい。
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