「BALMUDA Phoneはやって良かった」「Y!mobileが爆発している」 ソフトバンク宮川社長が語ったこと(3/3 ページ)
ソフトバンクの決算会見で、宮川潤一社長が5G、通信サービス、モバイル決済などの戦略を語った。通信サービスは「Y!mobileが爆発している」と好調ぶりをアピールした。PayPayの投資については「もうひと暴れさせてもらいたい」と話した。
BALMUDA Phoneは扱って良かった
―― BALMUDA Phoneをなぜ扱ったのか改めて聞きたい。ソフトバンクはスマートフォンを販売して10年以上の知見がある。その知見を持ってして、なぜBALMUDA Phoneを独占的に扱ったのかを知りたい。
宮川氏 バルミューダは、家電の頃から非常にユニークなメーカーさんだと思って、われわれは好意的に見ていた。その会社が今度は新たなデザインで、スマホ業界で勝負してみたいということで、私は実は後から聞いたが、大変面白いんじゃないかと思った。iPhoneを当時、独占という形で展開させていただきながら、今のソフトバンクの形がどんどん出来上がってきたわけだが、この独占がうまく講ずればいいと思っていた。なぜといわれると、やはりスマホの中でチャレンジしたいという日本のメーカーさんがあれば、われわれが支援できるところはぜひともしたいと思ったから。少し違う意味合いで質問されているかもしれないが、私の回答はこのような感じ。
―― 率直に、扱って良かったか。
宮川氏 良かったと思う。こういうことを始めないと次につながらないと思うので、よかったという答えにさせてほしい。
PayPayはもうひと暴れさせてもらいたい
―― PayPayで、中小店舗向け手数料の有料化を実行したことで売上高が上がり、収益性が改善したということだが、黒字化のめどをどう考えているのか。また、金融事業がどれくらい立ち上がるのか。
宮川氏 PayPayは手数料収入で固定費がブレークイーブンして、10月から逆転して収益性が高まった。2021年12月は相当いい数字が出ている。質問には、このまま獲得費用、このようなお祭りを続けるのかというような趣旨も入っているかと思うが、PayPayはまだ本当に伸び盛りで、4500万ユーザーでとどまるようなサービスじゃないと理解している。われわれは伸ばせられると感じているうちは、まだ獲得費を投入しながら、もうちょっと成長を楽しみたいと思っている。
金融事業全体については、Zホールディングスの下に、PayPayがあり、LINEがあり、証券や銀行もあり、今までの生い立ちの中で複雑になってしまった部分もある。これらを1つずつひも解きながら、あるべき姿を本気で議論している。いずれにしてもPayPayはスーパーアプリとして、あらゆる事業体のコア事業にして育てたいと思っている。他の金融事業との横連携を模索していきたい。ありとあらゆる金融事業がわれわれのプランニングの中に入っているが、PayPayを中心とした相乗効果で、急成長を楽しんでみたいと考えている。ソフトバンクKKの中にある会社もZホールディングスの下にある会社もあるが、いずれにしてもグループ会社戦略として大きく育てていきたい。
―― PayPayの今後について、今後も獲得費を投じ続けて、さらに伸ばせるという説明があった。もう4500万ユーザーまで伸びていて、世の中には現金だけしか使わないという人もいる。なぜ、さらに伸ばせると感じているのか。
宮川氏 今、獲得費をかけながら、それがどれくらいのユーザーの純増につながっていて、そのキャンペーンと似合うのかどうかも計算し、次のキャンペーンを議論している。4500万ユーザーに到達するまでの獲得については、われわれが十分に満足できるスピード感。いつか限界が来ることは当然理解していて、それが6000万になった時なのか7000万になったときなのか、効率が悪くなる時期があると思う。そのときに初めて、違う形での展開が始まるということだと思う。今はわれわれ自身が満足できる獲得コスト効率なので、やれる所までやってみたい。
現金のみの人がいるんじゃないかというのは、その通り。たぶん(現金)ゼロには絶対ならないと思う。海外の例を見ても、これがバランシングしている状態。QRコード決済とリアルカードの決済、現金などがバランシングしていると思う。ただ、日本のコード決済の決済割合は、諸外国と比べて伸ばせる余地が大いにあると考えているので、それを見極めながらわれわれの最終ゴールを見定めてみたい。
―― PayPayの拡大路線は、1年、2年と続けていくのか。いつ頃、黒字化に持っていく青写真を描いているのか。また、上場は黒字化になってからなのか、投資を拡大している時期にやろうということなのか。
宮川氏 本当に直近だけの回答では、もうひと暴れさせてもらいたいと思っている。本当に伸び盛りなので、他のものへの投資を押さえてでも、伸びているものに投資をしていきたい。事業なので、どこかで収益を回収しに行く。たくさんのユーザーに使われるアプリに成長してきているので、これが、さらに大きくなるところまでは、まずはしてみたい。
PayPayの上場は、正直いって狙っている。やっていきたいと思っているが、この上場のタイミングがゴールであるという認識は全くないので、上場した後に一番成長する形はどれなのかを議論している。
減益は2023年をボトムにしたい
―― ソフトバンクは上場したときから法人部門に対する非常に高い期待があった。実際、結果も出てきていると認識しているが、来期に向けて法人営業の強化をどう考えているか。
宮川氏 ソフトバンクの強みは、足腰の強い営業部隊。今はコンシューマーと法人というくくりでやってきているが、もう少し守備範囲を広げようということで、今、大企業、中堅企業中心にアカウントセールスをやっている部隊を増員して、SMB(Small and Medium Business)マーケット、同業界だとリクルートさんや光通信さんが大きくやっているマーケットにわれわれも直販部隊を作っていこうとして、諸準備に入っている。また、グローバルの営業部隊をもっと強化し、グローバルセールスを大きくする準備をしいる。グループとしてはアスクル、PayPayがSMBマーケットでやっているが、ソフトバンクKKも一緒に入ってグループシナジーを高めていきたい。
―― コンシューマー事業の利益が、いつ頃下げ止まるのか。コンシューマー事業のターンアラウンド戦略について聞きたい。
宮川氏 読みだけでいうと、2023年をボトムにしたいと考えている。その戦略も立てている。今期、少しへこんだ。来期も料金値下げの影響はあると思う。その中で、コンシューマー事業単体で、必ず復活させてみせると思っている。2023年がボトムになって、そこから浮上してくるという計画。
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