目が疲れない次世代ディスプレイ搭載タブレット、TCL「NXTPAPER 10s」に触れる:山根康宏の海外モバイル探訪記
TCLが2020年に発表したディスプレイ「NXTPAPER」を搭載したタブレット「NXTPAPER 10s」を紹介する。CES 2022のブースで実機に触れてきた。
TCLは2020年に液晶と電子ペーパーの「いいところ取り」をしたようなディスプレイ、NXTPAPERを発表しました。NXTPAPERは光の三元素である赤、緑、青の3つの色を外光を使って反射させて表示します。液晶のようにバックライトを使わないため、目が疲れにくいのです。一方、電子ペーパーはカラー表示はまだ不得意であり、写真の表現力も弱く動画再生は実用的ではありません。NXTPAPERは「液晶と同等の表現力を持ちながら、電子ペーパーのように目にやさしい」ディスプレイなのです。
そのNXTPAPERを搭載したタブレットが「NXTPAPER 10s」。欧州ではWi-Fiモデルが199ユーロ(約2万6000円)、4Gモデルが249ユーロ(約3万2000円)で販売されているとのこと。1月に米国ラスベガスで行われたCES 2022のTCLブースで実機を触ってみました。
NXTPAPERは反射型なので、周りが明るくなければ表示も暗くなってしまいます。TCLブースの展示エリアは十分な明かりがあり、その状況下で見る限りは普通の液晶とタブレットの表示は全く変わらないように見えました。屋外の太陽光の下でもNXTPAPERはしっかり表示を見ることができるそうです。
カメラを起動してみましたが、プレビュー画面に残像やちらつきが見えることもありませんでした。言われなければこれがNXTPAPERとは思えないでしょうね。展示機には別売のキーボードが接続されており、また専用スタイラス「T-Pen」にも対応するとのこと。ビデオ会議やら、あるいはオフィス文書の作成など、NXTPAPERはビジネスにも十分使えそうです。
プロセッサはMediaTekのMT8768E、QualcommのSnapdragonなら400番台の下位といったところで性能は低め。メモリ4GBにストレージは64GB。ディスプレイは10.1型1920×1200ピクセル、カメラはアウトが800万画素、インが500万画素です。バッテリーは8000mAhで18W充電に対応します。展示品は4Gに対応するモデルでSIMスロットがありました。
キーボードをつけビジネス向け展開も考えられているNXTPAPER 10sですが、NXTPAPERは子どもの目の健康も考え開発されたもの。中国では日本以上にeラーニングが進んでいますから、幼少な子供が1日数時間タブレットを使うことも当たり前になっています。TCLはカラー電子ペーパー搭載スマートフォンも出すなど目にやさしいモバイルデバイスを次々に開発していますが、NEXTPAPER 10sもソフトカバーを着けた子ども向けバージョンも中国で発売しているとのこと。
AppleがiPadにミニLEDを採用するなど、より明るくコントラストの良いディスプレイを搭載したタブレットも出てきています。しかしタブレットの長時間の利用は子どもの目にはあまりよくありません。NXTPAPERのような目にやさしいディスプレイを搭載したタブレットが、教育市場向けにぜひ増えてほしいものです。
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