なぜ今、ドコモが固定電話サービスを始めるのか? 「homeでんわ」の狙いを聞く(2/2 ページ)
ドコモが2022年3月29日の提供開始する「homeでんわ」。LTEの通信を利用して「03」などの市外局番から始まる固定電話番号からの受発信ができるサービス。発表直後より注目を集めているが、その狙いはどこにあるのか。なぜhome 5Gと同じタイミングで提供しなかったのか、固定電話サービスを提供するNTT東西とはどう調整を図ったのか。詳細を聞いた。
光とモバイル、どちらが主軸になるのか
homeでんわの発表後の反響は上々のようで、滝澤氏によると「想定よりも大きな反響があった」とのこと。2021年12月末時点でhome 5Gは19万契約を獲得しており、その契約者がhomeでんわの利用者のベースになってくるものと考えるが、滝澤氏は「単体契約する人も一定数いると思っている」とも話している。
先にも触れた通り、homeでんわセット割はドコモのスマートフォンの料金プランとセットで契約しても適用されることから、既に他の固定回線を引いている人、あるいは固定電話だけを利用したいというニーズにも対応できると見ているようだ。それゆえデバイスに関しても、当初はhome 5Gと一体になったものを考えていたが、単体契約者のことを想定して現在の形になったという。
ただ、ドコモは光コラボレーションモデルによる「ドコモ光」も提供していることから、ドコモが今後ドコモ光とhome 5G、どちらを軸としたサービスが主流になると見ているかは気になるところだ。だが斎藤氏はこの点について「光回線とhome 5Gのような商品は、利用者やターゲットが少し違う」ことから、あくまで固定とモバイル、双方によるサービスを提供してユーザーが選択できることを重視したいとしている。
またhome 5Gやhomeでんわに興味を示す人はコストコンシャスな人が多く、提供を開始したばかりの「ドコモでんき」や「エコノミーMVNO」などと近しい部分もあるという。取材時点で具体的な販売施策は決まっていないというが、そうしたドコモのサービスの中で共通したつながりがある部分の強みを、販売にも生かしていきたいと斎藤氏は話している。
なお、homeでんわのエリアについては、滝澤氏によると「電話転送役務の関係があり、必ずしもLTEエリアと同じではない」とのこと。具体的なサービスエリアについてはドコモのWebサイトに公開されているので、居住地で使えるかどうかは確認しておきたい。
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