Redmi Note 11で終わりではない Xiaomiに聞く、日本での“カスタマイズ”戦略(2/3 ページ)
2022年の第1弾として投入した「Redmi Note 11」を皮切りに、Xiaomiは日本での事業を強化する。2021年には初のFeliCa対応端末の発売などでローカライズを進めたが、2022年はXiaomi Japan自体の体制を強化する方針。具体的には、社内の人員や流通、販路、マーケティングまで、その分野は多岐にわたる。
最も不足していたのが4Gのチップセット
―― グローバルでは、派生機の「Redmi Note 11S」や、機能を強化した「Redmi Note 11 Pro」「Redmi Note 11 Pro 5G」の計4機種が用意されています。日本に投入したのがRedmi Note 11だったのはなぜでしょうか。やはり価格ですか。
ワン氏 今回はRedmi Note 11を投入しましたが、日本で今年(2022年)発売するのはこの製品だけではありません。先ほど安達から、(日本市場に向いているのは)小型のフォーマットであるという説明があったと思いますが、それ以外にも、世界的な半導体不足という要因があります。この価格帯で、このパフォーマンスが出せるのであれば、日本の消費者の皆さまに十分高い価値を提供できると思っていますが、4Gのチップセットを調達するのは非常に困難でした。
半導体不足の中で、特に不足が著しかったのが4Gのチップセットだったからです。レガシーであることや、他と比べてコストが安かったからということが、その理由です。(製造を行う)TSMCが、より高価格帯のハイエンド向けチップセットを製造する方がいいと判断をするのはもっともなことですが……。今回は、チップセットが不足する前に、日本向けの十分な4G用チップセットを確保できました。そんないいリソースがあるのなら……ということで、Redmi Note 11を日本市場に導入しています。
―― ディスプレイ用や充電用のICが足りないという話は聞きますが、4Gのチップセットも不足していたということですね。
ワン氏 正直に申し上げると、最も不足していたのが4Gのチップセットで、この不足は現在も続いています。昨年は「Redmi Note 10 Pro」や「Redmi 9T」といった4Gモデルを市場に導入しましたが、なぜ短期間でこれだけの端末を投入したかというと、4Gのチップセットの需要が高まると考えたからです。各社とも、4Gのチップセットを好きなように選べる状況ではなく、即興的な対策として、新モデルを立ち上げる必要がありました。
今年はしっかりとプロダクトプランニングをして、SKUをより絞った形でフォーカスしていきたいと考えています。Redmi Note 11は、今年注力するスマートフォンとして、非常にいいプロダクトだと考えています。
「ローカル」と「ローカリゼーション」は区別している
―― 一方で、Redmi Note 11はFeliCaや防水のような日本市場向けの機能がありません。今後の端末も、ローカライズした端末とグローバルモデルそのままの端末に分かれていくのでしょうか。
ワン氏 「100%グローバル、100%ローカル」という話をしましたが、「ローカル」と「ローカリゼーション」は区別しています。製品とは、何を足して何を引くのかが重要だからです。プロダクトがヒットするためには、バランスを取りながら消費者のニーズを捉えていく必要があります。何を加えて何を引くかを考え、コストとのバランスをどう取るのかが重要です。
その上で、ローカルと申し上げたのは、その国のニーズをよりよく理解し、そこに応えていきたいという意味です。エントリーレベルのユーザーは、コストに対して非常に敏感です。現在、サプライチェーン全体で世界のインフレ化がどんどん進行しており、部材の価格が高騰しています。為替の影響もあり、サプライチェーン全体でコストが上昇しています。ですから、この価格レンジを維持するだけでも、非常にチャレンジングなことです。
エントリーレベルのユーザーには、このコストでしっかりとしたユーザーエクスペリエンス(UX)を届けることが重要です。基本的な機能は、ほとんどの方がお使いになりますよね。その基本の1つがディスプレイで、Redmi Note 11では有機ELを使ったり、リフレッシュレートを90Hzにしたりしています。2点目がバッテリーで、急速充電も盛り込んでいます。前作と比べるとカメラもアップグレードしました。これらの基本を備えることで、消費者に十分な価値をご提供できるのではないかと考えています。
―― ローカル化の一環として、日本での体制を強化していく方針を打ち出しました。その概要を改めて教えてください。
ワン氏 日本市場は長期的な視点で見ています。Xiaomiの事業はスマホだけでなく、AIoTなど他の製品も多く抱えています。中国ではEVの発表もしました。将来的には、こうした他の製品を導入していく予定です。そのためにも、日本での確固たる基盤が必要です。強い基盤を作るのは人材です。われわれはローカルチームの育成を行いたい。そうすることで、長期に渡って日本市場向けの開発もサポートしていけます。
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