ドコモに聞く「ahamo大盛り」導入の狙い 想定を超えた利用で“軌道修正”も:石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)
サービスインから1年間、料金プランに大きな変化がなかった「ahamo」が、80GBのデータ容量を追加できるオプションを6月に開始する。シンプルで分かりやすいことをコンセプトに始めた料金プランということで、オプションも80GB一択にした。低容量プランはエコノミーMVNOですみ分けを図っていく考えだが、課題もある。
1年で徐々に軌道修正してきたahamo、プラン拡充は将来の課題か
開始から1年がたつahamoだが、ユーザー層はドコモの想定以上に拡大しているという。先に挙げたように、ahamoは30代以下の契約者が半数を占めるが、裏を返せば、残り半分は40代以上のユーザーだ。岡氏も、「私たちが思っていたより早く、次のステージに来ている」と語る。「普及曲線で言えば、アーリーマジョリティーの方が使っているが、一部、レイトマジョリティーの方も興味を持っている」という。
そのため、サービス開始直後の2021年4月には「ahamo WEBお申込みサポート」と「ahamo WEBお手続きサポート」を開始。どちらも料金は3300円かかるが、全国にあるドコモショップの店頭で申し込みや手続きのサポートを受けられる。この取り組みを、岡氏は「ものすごくたくさん使われているかというとそうではないが、一定の割合で継続して使われている。それなりのニーズがあり、そこに対しては応えられている」と評価する。
サービス開始当初は、「おすすめ端末」として「iPhone 11」や「Xperia 1 II」「Galaxy S20 5G」を用意していたが、これもユーザー層の実態に合わせて、徐々に変えているという。「若い人が多いので、価格コンシャスながらスペックも必要ということでそういう端末を用意したが、サービスを開始してみると(端末に対するニーズが)非常に多様だった」ためだ。そこで、3月11日にはエントリーモデルの「Galaxy A22 5G」を追加。iPhoneも最新モデルのiPhone 13に変更している。
【訂正:2022年4月23日23時45分 ahamoのおすすめ端末で、初出時に「iPhone 12」としていましたが、正しくは「iPhone 11」です。おわびして訂正いたします。】
また、「ふたを開けてみると、ドコモオンラインショップで端末を買われている方が非常に多い」ことも分かってきた。「オンラインショップの端末を全て見せると分かりづらくなるので、ahamoとしてオススメする端末を絞って見せていく」取り組みは続けていくが、サービス開始当初のように、パッケージのロゴやソフトウェアの一部をahamo用に変えることはやめていくという。実際、上記のGalaxy A22 5Gは、ドコモが販売しているものと仕様は共通している。
こうした軌道修正をしつつ1周年を迎えたahamoだが、ユーザー層が多様化すると、使われ方にも幅が出てくる。シンプルではあるが、20GB一択では全てのニーズをくみ取るのは難しくなるはずだ。ahamo大盛りを導入したのも、そんな実態を反映したものといえる。一方で、ユーザー数がさらに増えれば、先に挙げたように、ahamoでの低容量プランを求める声も大きくなっていく可能性がある。
ドコモショップで手続きできるとはいえ、エコノミーMVNOとドコモ自身のサービスであるahamoでは、通信品質やサポート体制など、さまざまな点が異なっているからだ。シンプルさを維持しつつ子会社のNTTコミュニケーションズが提供するOCN モバイル ONEとすみ分けを図る必要があるのは確かだが、5Gギガホ プレミアのようにデータ使用量が3GB以下だった場合にいくらかの割引を行う仕組みがあってもいいだろう。今後のサービス拡充にも期待したい。
関連記事
- ahamoが「ワンナンバー」対応へ Apple Watchセルラーモデルが使用可能に
ドコモのオンライン専用料金プラン「ahamo」が、「ワンナンバーサービス」に対応することが分かった。モバイル回線に対応した周辺機器と電話番号を共有できるサービス。Apple Watchのセルラーモデルが、ahamoでも利用できるようになる。 - 「ahamo大盛り」はどれだけお得? 無制限プランやpovo2.0と比較してみた
ドコモが2022年6月から、月額4950円で100GBのデータ通信を利用できる「ahamo大盛り」を提供する。100GBもの容量があれば、固定回線のように使うことができるという人もいるだろう。各社が提供している無制限や大容量のプランと比べて、ahamo大盛りがどれだけお得なのかをチェックした。 - ahamoはなぜ「大盛り」で大容量を拡充するのか 小容量プランはどうなる?
NTTドコモが、月額4950円(税込み)で100GBまでのデータ通信を利用できる「ahamo大盛り」を6月から提供する。ahamoのメインターゲットである20〜30代ユーザーのデータ通信量が年々増加している。一方、小容量プランについては、現時点で提供する予定はないという。 - 月額4950円で100GB ドコモが「ahamo大盛り」を6月から提供
NTTドコモが3月23日、オンライン専用プラン「ahamo」の新たなオプションサービス「ahamo大盛り」を発表。2022年6月から提供する予定。既存プランに「大盛りオプション」を加えることで、80GBのデータ容量が追加される。 - ahamoの疑問を解決! 契約方法から対応スマホ、使い勝手までを総チェック
ドコモが提供する通信容量20GB、月額税込み2970円のオンライン専用低価格プラン「ahamo」。提供開始から4カ月近く経過したが、まだ乗り換えを検討している人も多いだろう。ahamoを契約することで変わることや、通信容量の使い心地などを細かく紹介する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.