今、スマートフォンのストレージが64GBでは厳しいと思う理由(2/2 ページ)
日本でも5Gのサービスが始まってから2年が経過した。高速かつ大容量の通信インフラ下での利用を前提としたリッチコンテンツが登場し始める中、ストレージ容量不足という声も多く寄せられる。お使いのスマートフォンの本体容量について、再考してみる時期が来たといえる。
進むコンテンツのリッチ化 64GBでは今後厳しいか
64GBのストレージ容量では正直、使うにあたって工夫が必要だと感じる。正直、64GBのストレージのスマートフォンでも「操作に支障が出るほど厳しい」というわけではない。使い方を工夫さえすればおおむね快適に使える。
- 写真や動画をクラウドサービスにアップロードして、本体には多く保存しない
- 大容量のゲームはタブレット端末などの別端末で行う
- 音楽ストリーミングサービスなどは必要以上に楽曲を本体に保存せず、オンライン環境で利用する
といったちょっとした工夫次第では満足に使えるはずだ。ただ、こうした工夫をしたところで、今は何とかなっても、数年後にはアプリの容量そのものが増えて64GBでは厳しくなってくるはずだ。
容量不足となる背景としては、写真や動画の画質向上、アプリコンテンツのリッチ化が挙げられる。アップデートが続くゲームアプリやクロスプラットフォームの超大作なら、アプリ1本で20GBなんてコンテンツも多く出てくるだろう。
SNSアプリでも多機能化、ポータル化が進んでいる。利用していけばキャッシュなどもたまって、知らないうちに4〜5GBクラスの容量となるのも数年後では当たり前になるだろう。
特に工夫などせずに使用した場合、最初1年くらいは満足に使えても、時間の経過とともに容量不足となるのが目に見える。コンテンツのリッチ化といえばゲームなどを思い浮かべる方も多いと思うが、普段利用するアプリも便利な機能を追加すべくアップデートを重ねている。
例えば、日本でも多くのユーザーが利用するLINEはメッセンジャーアプリに端を発するものであったが、今ではニュースやトレンド、決済まで兼ねる「ポータルアプリ」という側面のある多機能なものになっている。
また、前述の通り動画や写真を多くSNSに投稿すれば、こうしたアプリのデータ容量も増加するので、知らない間に数GBの容量を消費してしまう。
カメラ機能の進化もストレージの大容量化に拍車を掛けている。処理過程の変化などもあり、写真に含まれている情報量は以前よりも多くなっている。Android端末ではその傾向がより強く出ていると。結果として、同じ画素数のiPhoneでも、1枚あたりの容量は新しい機種ほど確実に大きくなっている。
そのため、同じ感覚で連写したらあっという間に容量が消費される。動画についてはこちらも画質にとどまらず、フレームレートやHDR合成の有無で容量は大きく変わってくる。4K画質で撮影するとものの1分程度でも数百MBの容量になる。
高いストレージを購入して安心を手に入れる
先述の通り、スマートフォンは平均4年利用するというデータが出ている。スマートフォンの容量も、今なら64GBで足りていたとしても、4年後も大丈夫か? と問われれば話は変わってくる。かなり厳しいと言わざるを得ない。
筆者自身、何年も前にiPhone 5の64GBモデルを購入した当初は「こんなの余らせるだけだ」と思ったが、2年がたった頃には写真や動画、アプリに圧迫されて残り数GBというところまで使っていた。
今、512GBや1TBの容量を持つスマートフォンを購入しても決してオーバースペックではなく、安心できる追加容量を手に入れたと考えればいい。
スマートフォンのストレージ容量は、自分が思っているものよりもワンランク上あたりを選んでおく方が長く安心して使える。スマートフォンを快適に、安心して使える最低ラインが現代では128GBの容量になる――という言葉を結びにしたい。
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