ソフトバンクは今まで以上に「5Gらしさを追求」 5G SAと5G-Advancedによる“真の5G”へ:ワイヤレスジャパン 2022(2/2 ページ)
5月25日から開催されている「ワイヤレスジャパン 2022」。2日目の26日には、ソフトバンクの常務執行役員 兼 CNO(Chief Network Officer)の関和智弘氏が、「ソフトバンクが目指す超デジタル化社会」と題して講演し、ソフトバンクが5Gや5G-Advancedの技術を活用して社会を変革する取り組みについて語った。
5G-Advancedは2025年頃
3GPPでは、Release 18で高度化した5G、「5G-Advanced」の仕様を検討している。5G-Advancedの実現は2025年頃とみられ、5Gの本格的な利用の重要なポイントになると関和氏は述べた。
5G-Advancedでは送信時の容量が大きくなり、ドローンなど上空を飛ぶものに対する最適化が行われる。XRなど新しいサービスへの対応もさらに改善される見込みだ。「5G-Advancedが、今後、社会のデジタル化に必要な機能を補完する重要な技術になる」と関和氏は期待した。
現在進めている5G SAと、2025年以降、ネットワークへ本格導入されることになりそうな5G-Advancedの2つを組み合わせていくことで、「真の5G」へシフトするという。
真の5Gで社会のデジタル化が進む。少子高齢化などが社会課題となっている中、人だけでは目が行き届かず、また、人がするよりも機械やAIが行った方が精度の高いアプトプットを出せる。持続可能な社会の実現には、デジタルのフル活用が必要不可欠だと関和氏は話す。
デジタルで社会を持続的なものに変えていく技術として、世界各国で着目されているのがサイバー・フィジカルシステムだ。われわれが住んでいるフィジカル空間に対し、現実社会で取得したデータをネットワークを通じて、AIなどで処理するプラットフォームがサイバー空間だ。AI側で必要な課題解決を行い、それを現実社会にフィードバックしていくことによって、課題解決を行うという考え方だ。
このサイバー・フィジカルシステムという考え方が、今後、根付いていくと関和氏は見る。
「ネットワークとAIプラットフォーム合わせたサイバーインフラストラクチャという考え方が、今後ますます強まっていくと考える。5Gでデジタル社会を作っていく中で、われわれはこのサイバーインフラストラクチャを提供する事業者として貢献していきたい」(関和氏)
ネットワーク+AIで解決する社会課題
最後に関和氏は、サイバーインフラストラクチャで課題解決するユースケースを紹介した。なお、これらのユースケースでは必ずしも5Gを利用していない。LTEを活用しているものも含まれており、最終的には5G SAを使ってより良いものにしていくという考え方で取り組んでいる。
ソフトバンクは、建機レンタル事業を行うカナモトと共同で、建設機器を遠隔操作する実証実験を行っている。特徴は建設機器そのものを操作するのではなく、ロボットを遠隔操作して建機を動かしている点だ。5Gの低遅延を生かして実現しており、特に違和感なく操作できるという評価が得られたという。
また、クルマと5G SA、セルラーV2Xを活用し、歩行者とクルマによる事故回避を目指した実証実験をHondaと行っている。車載カメラで歩行者が事故に遭う危険性を認識した場合、クルマから直接、もしくはMECサーバを介して、歩行者が持っている携帯端末に警報通知を行う。クルマから目視できない歩行者の場合は、周辺の他のクルマや携帯端末と連携し、歩行者位置の特定を行う。
ドローンを使った物資輸送やインフラの設備点検の実証実験も行っている。設備点検は、ドローンから送信されるカメラ映像を解析することで効率化を図っており、ソフトバンクの鉄塔点検にも使う予定だという。
映像解析プラットフォーム「STAION」は、通常のIPカメラにエッジデバイスを接続することで、映像データを分析できるソリューションを提供する。画像分析のサービスメニューを用意し、ユーザーが使って、例えば来店者数の把握や、滞留時間などを分析できる。
社内ベンチャー制度から実用化された「e-kakashi」は、カルビーポテトと共同でジャガイモの育成に応用された。農場にあるセンサーで地中の水分を計測し、AI側で給水タイミングを最適化。その結果、収穫量が最大1.6倍になったという
関和氏は、5Gネットワークを通じてリアルタイムに情報を上げ、その情報をAIで解析することで、超デジタル化社会への変革を進められると意気込んだ。「2025年以降、このような社会が本当に実現されるように進めていきたい」(関和氏)
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