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インタビュー

「端末としての利益はほぼ出ない」 トーンモバイルが約2万円で5Gスマホを提供する狙いMVNOに聞く(3/3 ページ)

ドコモのエコノミーMVNOに参画したトーンモバイルが新たに投入した5Gスマートフォンが「TONE e22」だ。さらに、「5G時代のスマホ生活を先取りできる実証実験」として、「TONE Labo」も開始した。実証実験のため料金は無料で、加入すると1万円の端末割引を受けられて2万1780円で購入できるが、端末としての利益はほぼでないという。

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ドコモショップでもiPhoneよりAndroidの契約が多い

―― 現状だとトーンモバイルの端末だけですが、iPhone用のSIMカードにもTONE Laboを提供していくことはありますか。

石田氏 次はiPhone(用のネットワーク)を5G化する準備をしていますが、TONE Careのようなものは全部iPhoneでもできます。ただし、TONE Coinはちょっと難しいかもしれない。アプリが前面に出ていないと動かなくなってしまうので、これはAndroid中心になるかもしれません。個別のサービスに申し込めるようになるのは、早い段階でできると思っています。

―― エコノミーMVNOでAndroidの販売を始めましたが、全比率として、iPhoneとAndroidはどのぐらいの比率になりましたか。

石田氏 iPhoneが1、Androidが3で1:3ぐらいですね。昔はこれが1:7ぐらいで、Androidの方が圧倒的に多かったのですが、差が縮まっています。iPhoneは、端末が一緒に買えることもあり、エコノミーMVNOに絞りましたが、それでも1:3でAndroidの方が多い。これは、われわれの特徴を完全に生かせるのがAndroidだからだと思います。ただし、エコノミーMVNOの開始に合わせて、iPhoneの管理機能が確実に動くところには持っていきました。

―― ドコモショップでの取り次ぎ販売はそれなりに数が出ているということでしょうか。

石田氏 取り次がれている店舗と、そうでない店舗があり、これが均等ぐらいになれば期待していた通りになります。まだムラがあるので、そこは丁寧に回していきます。

―― 取り次ぎ販売という形態が想定外で驚きましたが、一部店舗に限って在庫を置くようなことはしないのでしょうか。

石田氏 そうすることも想定はしていましたが、今の状況を見ると、なくても大丈夫そうです。(店舗ですぐに受け取りたいという)声はほとんど挙がっていません。実はドコモもそこを心配していて、重要店舗には置きましょうか? という話はしていましたが、今のところ問題なくできています。今は店舗でのお勧めというより、指名買いが多いからかもしれませんが。

トーンモバイル
ドコモショップで扱っているトーンモバイルスマホは、契約してもその場では入手できず、後日キッティングした上で配送される

今後の新機種投入ペースは?

―― 今回はドコモの夏モデルと時期も非常に近く、説明会では一緒に扱われていました。今後も時期はある程度合わせていくのでしょうか。

石田氏 商戦期に合わせるのはいいと思います。ドコモ側の機種数もそんなに多くはないので、取り上げられ方を見てもよかったと思います。

―― 今後も、このペースで新モデルを投入していくのでしょうか。

石田氏 2019年ぐらいから年1回ぐらいのペースになっていますが、今回のTONE e22は結構スペックが高い。どうなるかは、これからの販売状況次第です。もう1つ重要な要素としてあるのが、半導体不足です。円安もあり、30%ぐらい値段が変わってしまうこともあります。その辺も含めて、今(後継機の投入をどうするかは)考えているところです。

―― 最後に、楽天モバイルの0円廃止の影響を伺いたいのですが、MVNOによっては新規契約が増えているところもあります。御社はいかがですか。

石田氏 さすがに倍増というのはないです(笑)。確かに10%から15%ぐらい増えてはいるのですが、その要因かどうかは分かりません。(他より増えていないのは)対象がまったく違うのかもしれないですね。

取材を終えて:ユーザー層に合わせた5Gサービスを同開発していくか

 TONE e22は、トーンモバイルが5Gならではのサービスを実現するために開発された端末という位置付けだ。eSIMに対応したのも、5G SAの開始を見越してのものだった。MNOから借りた帯域をユーザーがシェアするMVNOでは、5Gになったからといってスループットは出しづらい。そのため、5Gの中でも低遅延に特化したサービスを、TONE e22の上に投入していく形になる。

 とはいえ、こうしたサービスは、“Labo”と銘打たれているように、あくまで実証実験の段階。子どもやシニアの多いトーンモバイルのユーザー層と、TONE Coinのようなサービスがどうマッチするのかが見えづらいのも事実だ。5Gを生かしたうえで、ユーザー層に合わせたサービスをどう開発していくのか、同社の次の一手にも期待したい。

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