ドコモ、KDDI、ソフトバンクが「ジャパンドローン 2022」出展 大手3キャリアが注目する理由とは(1/2 ページ)
6月22日から23日まで幕張メッセにて、国内最大級の民間ドローン展示会「ジャパンドローン2022」が開催された。ドローン関連や将来の空飛ぶクルマを目指す多くの企業が出展するなか、ドコモとKDDI、ソフトバンクの大手携帯電話事業者3社も出展。その模様について紹介していこう。
6月22日から23日まで幕張メッセにて、国内最大級の民間ドローン展示会「ジャパンドローン2022」が開催された。ドローン関連や将来の空飛ぶクルマを目指す多くの企業が出展するなか、ドコモとKDDI、ソフトバンクの大手携帯電話事業者3社も出展。その模様について紹介していこう。
先に2022年現在の日本のドローンビジネスについて軽く触れておくと、工場や建築現場、大型建造物などの点検・測量・監視や、農業用の生育管理や農薬散布、災害時の自治体による情報収集など、飛行許可を得やすい敷地や状況での運用が中心となっている。
テラ・ラボが開発中の大型有翼機「Terra Dolphin 8000」モックアップ。翼長8000mmで、衛星回線によりリアルタイムで映像を伝送する。調査など長時間・長距離飛行の用途では、マルチコプターより有翼機が用いられる
今後の話としては、「レベル4」と呼ぶ有人地帯の目視外飛行の実現に向けて、国が2021年の航空法改正をもとに機体認証制度や操縦ライセンス制度、航空管制など環境の整備を進めている。レベル4の実現はドローン物流や発災時の救援の他、2025年大阪・関西万博での空飛ぶクルマの実現にも関連する内容となっている。
ドコモ、KDDI、ソフトバンクの携帯電話事業者3社がドローンビジネスを手掛ける理由として特に大きいのは、上空でLTEなどのモバイルネットワークを提供できる点だ。2016年以後の実用化試験局の検証から2020年の制度整備を経て、上空での運用プランを提供している。
一般的なドローンは無線の送信機から数百メートルから1〜2キロしか操縦できないが、LTEなら人口居住地域のほとんどでネットワークにつながる。このため、長距離飛行に適しており、無線操縦と二重に搭載することで遠隔操縦の冗長性を高められる。もちろん、LTEはカメラやセンサーで取得した情報のリアルタイム送信やクラウドサービスでの解析にも有用だ。レベル4を見据えた今後のドローンの活用では、携帯電話事業者の上空LTEサービスの需要はさらに高まっていくとみられる。
KDDIはドローンの遠隔自律飛行・自動充電デモや、レベル4を見据えた展示を実施
KDDIは広めのブースにて、子会社のKDDIスマートドローンによるLTEパッケージ対応ドローンによる運行管理システムや、レベル4を見据えた取り組みの展示を充実させていた。
ドローンの運行管理システムでは、CIRC製の自律飛行ドローン「G6.0」とドローンポート「NEST」を用いた遠隔自律飛行と遠隔制御のデモを実施。幕張メッセから栃木県小山市で自律飛行するドローンの運行確認や、遠隔制御で飛行経路の変更などを行っていた。このCIRC製ドローンはNESTに着陸することで充電が可能。バッテリー交換など人の手を介さずに、定期的な自律飛行を行える。
この他、建造物の調査や輸送向けにLTEパッケージで活用できる機種を展示。今後のレベル4を見据えたドローン輸送の本格化を見据えた、ペイロード(運搬能力)の大きい各種ドローンも取りそろえていた。
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