「西新宿で5Gや先端技術の社会実装を」 東京都が注力する“5つの分野”(2/2 ページ)
東京都が「西新宿先端サービス実装・産官学コンソーシアム」を設立した。西新宿エリアで5Gや先端技術を活用したサービスの社会実装を加速させることが狙い。今後5つの分科会で、参加する企業や団体などが自動運転やXR、デジタルツインなどを活用したサービスの実装に向けた議論や実証を進めていく。
MaaSを活用した地域の認知度向上や事業参画の促進
3つ目は「地域の認知度向上・事業参画を促進するデータ連携プラットフォーム分科会」。代表のジョルダンは「乗換案内」などのアプリやサービスで知られているが、2022年1月には同アプリに西新宿エリアで利用できる「スマートシティモード」を搭載、地域内での情報を網羅するなど、街と直接接続する体験ができる仕組みを提供しているが、2022年度はそのスマートシティモードをさらに強化し、他社サービスとの連携を図るとともに、各店舗のCMSと連携して店舗側から情報発信できる仕組みを提供したいとしている。
また同社では、乗換案内での経路検索データから行動を予測し、それをさまざまなサービスに活用してもらうMaaSプラットフォーム「J MaaS」を展開している。そこで分科会では、そうしたプラットフォームの活用による新たなビジネスモデルを開拓し、西新宿をにぎわいある街にする「“最”新宿」を目指すとのことだ。
XRを体験できる場の提供、社会実装を検討
4つ目は「地域の魅力向上に向けたXRの都市実装検討分科会」。代表の小田急電鉄はこれまで、XR技術を活用した西新宿エリアの魅力向上に向けたさまざまな取り組みを実施してきたが、事業の継続性やビジネス面に課題があったとのこと。その要因として、同社はXRに関わるクリエイターの交流や発表の場が少ないこと、ユーザーが継続的に体験できる場が少ないこと、そしてビジネスプレイヤーがビジネスを検証する機会が少ないことがあると仮説を立てているという。
そこで同社ではXRの社会実装を加速するべく、XRを継続的に体験できる施設と交流を促すコミュニティー、そして都民がXRを体験できる機会を提供することに取り組むとしている。分科会ではXRの社会実装に向けた課題や、サービス提供する上でのガイドラインなどの検討を進めたいとのことだ。
西新宿のデジタルツインを構築
そして5つ目は「都市サービスの創出と実装を実現するデジタルツイン分科会」。代表となる大成建設は西新宿に本社を置き、新宿副都心エリア環境改善委員会の設立にも関わり同エリアの価値向上に向けた取り組みを実施してきたという。
その知見をデジタルにも生かし、同社では3Dモデルをベースとした西新宿のデジタルツイン(現実の世界から収集したデータをコンピュータ上で再現すること)を構築し、課題解決に向けたさまざまな都市サービスの開発を進めていくとのこと。分科会ではその実現に向けた課題や、コンテンツの検討に向けた検討などを進めたいとしている。
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