「Twitter Blue」を使って考えた“月額980円の価値” 普及のカギを握るのは携帯キャリア?:石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)
Twitterの有料サービス「Twitter Blue」が、1月11日に日本で導入された。2009年からおよそ14年弱の間、Twitterを使い続けてきた筆者も、サービスイン初日に契約してみた。その方法や、Twitter Blueならではの新機能を紹介しつつ、同サービスの今後を考えてみた。
ただよう割高感、バンドル化は普及の鍵になるか
逆に、企業アカウントやインフルエンサーなど、ツイートがビジネスに直結しているユーザーには、編集や取り消しは便利な機能といえそうだ。また、Twitter Blueに申し込むと、アップロードできる動画の解像度が1080p(フルHD)になり、尺も最長で60分に伸びる。こうした機能も、どちらかといえば企業やインフルエンサー向き。収益化の方法がないため魅力は限定的だが、企業がプロモーションの映像を配信するといった使い方はできそうだ。日常生活の延長でSNSを楽しむというより、Twitterをヘビーに使いこなしているユーザー向けの機能といえる。
もっとも、それゆえにTwitter Blueを利用するユーザーがどこまで増えるかは未知数だ。現状ではツイートの編集や取り消し、動画の強化などが中心だが、機能の数に対して、価格は割高といえる。もともと、Twitter Blueが米国などで始まった際の料金は350円だった。このぐらいなら気軽に支払えそうだが、980円となると、どうしても他のサービスと比較した際のコストパフォーマンスが気になってくる。
例えば、Netflixのベーシックプランは990円。720pと解像度は制限されるものの、この金額を払えば膨大な映像作品が見放題になる。1億曲を超える楽曲が再生し放題になるApple Musicも、個人向けプランは1080円。ECの配送特典や動画、音楽、ストレージなどのサービスがセットになったAmazonプライムは、月額料金で500円とさらに安い。1000誌以上の雑誌が見放題になるdマガジンも、わずか440円。こうした価格帯の近い各種サービスと比べると、980円という料金はやはり割高に見えてくる。
そこそこ(かどうかの判断は読者およびフォロワーの皆さまにお任せする)Twitterを活用している筆者ですら、編集や取り消しの機能だけのために毎月980円払うのはためらう。よりライトなユーザーであれば、なおさらそう思うはずだ。今は長くお世話になったTwitterを支える一助になればと、お礼のような気持ちでTwitter Blueに加入しているが、継続するかどうかはかなり悩ましい。ヘビーユーザーには中途半端だし、そうでないより多くのライトユーザーには高すぎる。収益化を急ぐあまり、値上げしたことが裏目に出ているような印象だ。
もっとも、このTwitter Blueの機能が“何かのオマケ”として使えるのであれば、うれしい人は多いだろう。Twitter Blueの各種機能は、インフラであるモバイルネットワークやスマートフォンなどと、特に相性がいい。auが展開している「使い放題MAX ○○パック」の中にいちサービスとして含まれていたり、スマートフォンを購入した際の特典として利用できたりすれば、使ってみようと思うユーザーは増えるかもしれない。キャリアやメーカーにとっても、データ容量や端末に搭載された機能の利用促進につながる。このようなバンドルができるパートナーを見つけることが、今のTwitterにとって必要といえそうだ。
使い放題MAXなどとパックになっていれば、何かのサービスのついでに利用できる。同じマスク氏がCEOを務めるStarlinkと提携しているKDDIだけに、Twitterとの取り組みにも期待したいところだ
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