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ドコモ、屋外建物の足元エリア化手法を拡充 透過型メタサーフェスでミリ波帯がつながりやすく
NTTドコモは屋内のミリ波帯(28GHz帯)の電波をフィルム形状の「透過型メタサーフェス」で曲げ、屋外の建物の足元をエリア化する実証実験に成功。設置が容易かつ透明化も可能で、他の周波数帯に影響を与えずに利用できる。
NTTドコモが、屋内のミリ波帯(28GHz帯)の電波をフィルム形状の「透過型メタサーフェス」で曲げ、屋外の建物の足元をエリア化する実証実験に成功した。
高周波数帯の電波は建物の屋上に設置した屋外基地局アンテナから見通せない場所に届きにくく、建物の足元のエリア化が困難とされてきた。そこで同社は建物の足元のエリア化手法を拡充するため、本実験を行ったという。
本実験には、窓ガラスを通るミリ波帯の電波を特定の方向(建物下方向)に曲がるように設計/加工した28GHz帯向け透過型メタサーフェスを使用。フィルム形状のため屋内側から窓ガラスに貼り付けられ、設置が容易かつ透明化処理によって景観や既存のデザインを損なわずに設置できる。また、LTEやSub-6 など他の周波数帯に影響を与えないように設計し、他の帯域と並行してミリ波のカバレッジ改善も可能とした。
具体的には屋内に設置した基地局から、窓ガラスに貼り付けた透過型メタサーフェスに対してミリ波帯の電波を入射。透過型メタサーフェスで窓ガラスを通るミリ波を建物下方向に曲げたところ、建物の足元エリアでのスループットが向上することを確認した。本実証で使用した透過型メタサーフェスは、2月2日からオンライン上で開催する「docomo Open House'23」でも紹介する。
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