ニュース
ドコモとエアバス、成層圏から地上への電波伝搬実験に成功 山間部や離島などのエリア化を目指す
NTTドコモとエアバスは、高高度無人機(HAPS)を用いた成層圏から地上の受信アンテナへの電波伝搬実験に成功。この結果をもとに、通信エリア化が難しい山間部や離島、海上などでの通信サービス提供を目指す。
NTTドコモとエアバスは、11月15日に高度約20kmの成層圏を飛ぶ高高度無人機(HAPS)「ゼファー(Zephyr) S」を使用した電波伝搬実験について発表。成層圏から地上のスマートフォンなどのデバイスへ提供する通信サービスの実現可能性を実証したものとなる。
本実験ではUHF帯(450MHz/2GHz帯)の周波数を用いて、成層圏と地上間での電波の伝搬特性を測定。成層圏を飛行するHAPSに搭載された無線機と地上のアンテナを直接接続し、通信距離や気象条件などさまざまな条件下で電波の減衰特性の分析を行った。実証実験期間は8月25日〜9月13日で、成層圏での滞空日数は18日間。
あわせて、地上のユーザーがHAPSを介した通信で利用できるスループットを低/中/高の3段階に設定し、多様なユースケースへの汎用(はんよう)性を検証。低速ながら長距離の通信が可能となる低い周波数(450MHz)を使用した約140kmの長距離接続の伝搬測定にも成功し、HAPSは最高到達高度7万6100ft(約23.195km)を達成している。この実証実験で得られた結果をもとに、両社は今後通信エリア化が難しい山間部や離島、海上などへの通信サービス提供を目指すという。
今回の伝搬試験は、11月16日から4日間オンラインで一般公開する「NTT R&D FORUM Road to IOWN 2021」でも紹介する予定だ。
関連記事
- 移動するユーザーにも5Gミリ波の電波を ドコモがユーザー追従型メタサーフェスの実証実験
NTTとNTTドコモはメタサーフェスを28GHz帯5G基地局を利用し、ユーザーの動きに合わせて電波の反射方向を動的に変更させる実証実験に成功。工場やオフィスなど、遮蔽(しゃへい)物が多い場所での利用シーンが拡大するという。 - ドコモとスカパー、39GHz/2GHz帯を利用した上空エリア化の実証実験
NTTドコモとスカパーJSATは、5G evolution/6Gでの上空エリア化実現に向けた電波伝搬測定の実証実験を実施。高速通信の提供が難しかったへき地、空、海上などへの通信エリアの拡大を目的としている。 - ソフトバンクが6G開発に向けた計画を公開 空中含む「エリア100%」や量子コンピュータ対策も
ソフトバンクが7月14日、5Gの次世代通信を担う「6G」についての12の計画を公開した。社会インフラとして重要な役割を担うモバイル通信をさらに発展させ、山間部や海上などを含む地球全体を通信エリア化するという。2030年に実用化が予想されている量子コンピュータへの対策やCO2排出の「ネットゼロ」にも言及している。 - ソフトバンクとOneWebが衛星通信サービスで協業 2022年に商用化へ
ソフトバンクとOneWebは、日本やグローバルでの衛星通信サービス展開に向けた協業に合意。商用環境での実証試験やデモンストレーションを経て、2021年末までに北緯50度以上の地域、2022年に世界中で商用サービス展開を目指す。 - ソフトバンク、成層圏から基地局のように運用できる航空機を開発
ソフトバンクが、成層圏通信プラットフォームを活用した事業を展開すると発表した。山岳部や離島、発展途上国など通信ネットワークが整っていない地域でも、安定した通信環境を構築できるという。ジョイントベンチャー「HAPSモバイル」を通じて展開する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.