海洋や山間部でもIoTデバイスで通信 NTTとJAXAが「低軌道衛星MIMO技術」「衛星センシング技術」を実証
NTTとJAXAが「衛星MIMO技術を活用した920MHz帯衛星IoTプラットフォームの軌道上実証」を実施。地上通信網が整備されていない海洋や山間部などでのIoTデバイス活用や、センシングサービス提供を目指す。
NTT(日本電信電話)とJAXA(宇宙航空研究機構)は、2月10日は「衛星MIMO技術を活用した920MHz帯衛星IoTプラットフォームの軌道上実証」について発表。「低軌道衛星MIMO技術」と「衛星センシング技術」について軌道上で実証する。
本実証テーマでは超広域衛星センシングプラットフォームの実現に向けた要素技術について、小型実証衛星への搭載性を含めたスケールモデルを用いて低軌道衛星軌道上での技術実証に取り組む。
まずは、革新的衛星実証3号機で実証予定だった技術について実証する。具体的には、低軌道衛星MIMO技術は時間周波数非同期干渉補償技術、通信路モデル化(通信容量推定)技術により2×2MIMOでSISO伝送に比べてピーク値で2倍、平均で1.5倍以上の伝送容量改善を達成できることを実証する。
衛星センシング技術では衛星ブラインドビーム制御技術、マルチプロトコル一括受信技術で同一時刻/同一周波数に到来する2端末以上のLPWA端末の信号を分離/復調できることを実証する。
将来の実用化も見据え、データキャリアのみでMIMO復調を実現する制御キャリアレス復調技術の研究にも取り組む。衛星から起動信号のキャリア周波数を時間的に変化させて送信することで、低軌道衛星が地上LPWA端末の上空を通過するタイミングで確実に起動させる技術の実証も目指す。また、920MHz帯に加えて、860Mz帯の上空干渉電力の累積確率分布の調査も行う。
今後、海上ブイを用いた面的な海洋気象観測による気象予測精度の向上や河川監視による水害事前検知など、地上通信網が整備されていない海洋や山間部などでのIoTデバイス活用やセンシングサービスの提供を可能にするという。
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