予備回線向け「デュアルSIM」に残された2つの課題 楽天モバイルとMVNOはどう救済する?:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
KDDIとソフトバンクが、他社ネットワークを予備回線として利用するサービスを3月下旬以降に導入する。この枠組みには、ドコモも参加することになるようだ。一方で、楽天モバイルやMVNOは、相互バックアップの枠外のまま。こうしたキャリアのユーザーをどう救済していくかは、確定していない。
キャリアショップで予備回線を契約 料金は「数百円の下の方」を想定
現時点では料金など、具体的なサービスの中身は明かされていないが、3社の社長のコメントから、その具体像がおぼろげながら見えてきた。まず、提供形態だが、ドコモのユーザーはドコモ、KDDIのユーザーはKDDI、ソフトバンクのユーザーはソフトバンクのショップで、予備回線を契約できるようだ。宮川氏は、これを「通信保険」と語っていた。高橋氏も「個人向けの保険サービスのようなもの」としており、サービス名称もそれを想起させるようなものになる可能性がある。オプションサービスとして、他社のSIMカードなりeSIMプロファイルなりが手に入るというわけだ。
高橋氏によると、回線は卸で提供を受けているという。構想段階では、宮川氏が「お互いにMVNOになる構造」と語っていたが、より簡易的に、キャリア各社が相互に回線を貸し借りする形に落ち着いたようだ。料金は、3社とも「数百円」としている。宮川氏は、もう少し踏み込んだ形で「数百円の下の方」と述べており、200円から400円程度になることが想定できる。維持費が無料のpovo2.0よりは高いが、各キャリア自身のサービスとして他キャリアの回線を提供するため、「構造は似て非なるもの」(同)。裏を返せば、自身で冗長化できるユーザー以外に向けたサービスともいえそうだ。
一方で、この数百円はあくまで維持費になる。実際に災害なり通信障害なりが起こり、予備回線に切り替えて通信すると、プラスアルファで料金が発生する見通しだ。高橋氏は、「できるだけたくさんの方にお使いいただきたいので数百円程度にするが、従量料金は少し高く設定する」と語っている。さすがに通信料が青天井だと、非常時でもリスクが高く使いづらくなってしまうため、「ギガライト」や「スマホミニプラン」「ミニフィットプラン+」のような段階制になるのではないか。データ容量は、抑えめになる可能性もある。
現時点では特に表明されていないが、SMSも利用できる可能性があるため、通信障害時には、ぜひ予備回線を通じて告知をするようにしてほしい。ユーザー側が、障害の原因を切り分けるのは非常に難しいからだ。通信できなくなったといっても、その理由はさまざま。端末の設定が間違っている可能性もあれば、アクセスしようとしていたサービスのサーバがダウンしている可能性もある。予備回線を通じてこうした情報が提供されれば、KDDIの通信障害のときのように、情報を求めたユーザーがショップに殺到するといったことを減らせるだろう。単なる回線の相互提供以上に踏み込んだ仕組み作りに期待したい。
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