IIJmio「ギガプラン」で4GBと8GBを増量した理由 競合に比べてどれだけ安い?
「IIJmio」の「ギガプラン」で、一部データ増量をする。対象となるのは4ギガプランと8ギガプランで、月間のデータ容量を4ギガプランは4GBから5GBに、8ギガプランは8GBから10GBに増量する。IIJmioでは中容量帯の利用が増えているという。
インターネットイニシアティブ(IIJ)が、2023年4月1日からMVNOサービス「IIJmio」の「ギガプラン」で、一部データ増量をする。対象となるのは4ギガプランと8ギガプランで、月間のデータ容量を4ギガプランは4GBから5GBに、8ギガプランは8GBから10GBに増量する。
ギガプランでは他に2ギガプラン、15ギガプラン、20ギガプランを提供しているが、なぜ4ギガプランと8ギガプランのみ増量したのか。MVNO事業部 コンシューマサービス部長の亀井正浩氏は、「中容量帯の利用が増えている」ことを理由に挙げる。
「IIJmioに従来あるパケットシェアの考え方が少しずつ根付いてきて、以前のファミリーシェアプランのような使い方を、ギガプランでもしていただける人が増えた。4GBと8GBを増量することで、皆さんに使っていただける環境を作りたい」(亀井氏)
2021年4月に提供を開始したギガプランは、その1年後の2022年4月に料金の端数を0にそろえる調整(値下げ)を行っている。その間、タイプAでeSIMの提供はあったが料金改定はなく、今回はそれ以来の改定となる。
ギガプランを提供する以前の2020年度、IIJmioは純減が続いていたが、ギガプランを提供開始した2021年度は、第1四半期から105.3万→107.2万→107.3万→109万と純増に転じた。2022年度も、第1四半期から112.6万→117.8万→119.7万と純増が続いている。特に第1四半期から第2四半期に+5.2万と大きく純増。これは2022年5月に楽天モバイルが0円廃止の「Rakuten UN-LIMIT VII」を発表したことで、楽天ユーザーの移行が進んだ結果だが、現在は「その効果が剥落して落ち着いてきた」と2月の決算説明会で勝栄二郎社長が述べている。「それに対して、いろいろな新しい挑戦を考えている」と勝氏は述べていたが、今回の容量アップは、その1つの施策といえる。
亀井氏によると、楽天モバイルから移行した人は、2GBや4GBの低容量帯のプランを選び、端末をセットで購入するケースが多かったという。2ギガプランは月額850円(税込み、以下同)、4ギガプラン(4月からは5ギガプラン)は月額990円なので、Rakuten UN-LIMIT VIIの3GBまで月額1078円より安い。メイン回線かサブ回線かは分からないが、3GBまでの低容量で十分という楽天ユーザーがギガプランに移行していたことが分かる。
ただし楽天モバイルからの移行は落ち着いたため、プラン自体を強化する必要がある。そこでターゲットになったのが、最低容量(2GB)の次にある4GBと8GBのプランだったというわけだ。新5ギガプランと新10ギガプランは、競合のMVNOと比べても競争力がある。
5ギガプランは、NUROモバイルのバリュープラスのVMプラン(5GB)と同額で主要MVNOの中では最安となる。その他のサービスは1000円を超えている。
10ギガプランは、mineoのマイピタの10GBプランが月額1958円、OCN モバイル ONEの10GB/月コースが月額1760円でIIJmioの方が安い。NUROモバイルのバリュープラスのVLプラン(10GB)が月額1485円だが、その差は15円にすぎない。そしてIIJmioならではの特徴として、データ容量をシェアできる機能もある。
今回の改定は、データ通信をそこそこ使う人、データシェアを利用している人にとって魅力的なのは間違いない。加えて、2ギガプランから5ギガプラン、10ギガプランへの移行が進めば、IIJにとってはARPUの向上にもつながる。また、旧プランのユーザーが5ギガプランや10ギガプランを選べば、移行に伴うARPUの減少も抑えられる。春商戦でどこまでユーザーを獲得し、中容量プランの契約が進むか注目だ。
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