KDDIの「副回線サービス」を契約してみた 利用時の注意点と300kbpsでできること:石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)
KDDIとソフトバンクは、お互いの回線をいざというときのバックアップ回線として活用する「副回線サービス」を発表した。今回はKDDIの副回線サービスに申し込んでみた。その申し込み方法や利用方法をお届けするとともに、使い勝手や注意点などもレポートしていきたい。
電話は従量の通話料に注意、申し込みプロセスには課題も
データ通信だけでなく、音声通話やSMSに対応しているのも副回線サービスの特徴だ。普段利用している主回線が何らかの事情で不通になってしまった場合に、連絡を取ることができる。iPhoneの場合、デュアルSIMの状態で電話アプリを開くと、どちらの回線で発信するかを選択可能になる。また、設定の「モバイル通信」→「デフォルトの音声回線」で、主回線と副回線のどちらをデフォルトにするかの選択も可能だ。
試しに電話もかけてみたが、ごくごく当たり前のようにつながる。ただし、電話を受けた側が副回線の電話番号を登録していないと、単に電話番号が表示されるだけで、誰からかかってきたのかが分からない。逆に言えば、その電話番号を知らない相手は、電話をかけることすらできない。通信障害や災害で普段利用している回線が不通になってしまうと、電話を逃してしまう恐れはあるというわけだ。
これを避けるためには、あらかじめ副回線の電話番号を電話帳に登録してもらうしかない。家族や恋人、友人、同僚といったよく電話をする相手には、副回線サービスを契約したことや、その電話番号を伝えておくといいだろう。スマートフォンの電話帳には、複数の電話番号を登録でき、それぞれにラベルをつけることも可能だ。副回線であることを明示しておけば、万が一のとき、どちらに発信すればいいかが分かりやすくなる。また、SMSも送受信ともに利用できた。
注意したいのは、発着信履歴から電話をする場合。副回線に着信した電話に折り返そうとすると、副回線からの発信になってしまう。発信履歴をタップした際も同様で、直近で利用した回線で再発信される。副回線サービスはその仕様上、音声通話定額には非対応。30秒22円の通話料がかかる。うっかり定額の範囲内だと思って長電話してしまうと、請求額が跳ね上がってしまうため、どちらの回線で電話しているかは、よく確認しておくようにしたい。主回線の状況が改善したら、副回線は回線ごとオフにするのも手だ。
実際に使ってみると、300kbpsでも意外と必要なことはできてしまうことが分かる。ただ、先に挙げたように、一部のサービスは、利用にかなりの時間がかかる。通信障害でまったく利用できないよりはマシだが、快適に利用できるとは言いがたい。これが500kbpsや1Mbpsなど、もう少し高速だったら結果が変わっていた可能性も高い。例えば、法人向けのサービスは550円と料金が高い一方で、データ容量は1GBと大きく、速度制限も1Mbpsに緩和されている。実用度はこちらの方が高く、個人でこれを契約したい人もいるはずだ。
改善の余地は、手続きのプロセスにもある。KDDIの場合、オンラインと電話での申し込みに限定されており、ショップの対応は検討中だという。筆者はオンラインで申し込み済みだが、au IDでログインしたうえで、氏名や住所などを入力しなければならず、それが少々煩雑だった。回線契約を伴うため、省略できないプロセスではあるものの、姓名の間に“全角”スペースを入力しないと弾かれてしまうなど、仕様がこなれていない印象を受けた。本来、副回線サービスを必要とする人にとって、ややハードルが高くなってしまうだけに、今後の改善に期待したい。
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