「AQUOS R8 pro」のミリ波対応、ドコモとソフトバンクで分かれる:ふぉーんなハナシ
シャープが2023年夏に向けて発表したフラグシップモデル「AQUOS R8 pro」。NTTドコモ版とソフトバンク版には小さな違いがある。「ミリ波」の有無だ。
シャープが2023年夏に向けて発表したフラグシップモデル「AQUOS R8 pro」。NTTドコモとソフトバンクの2キャリアが取り扱いを表明しているが、両モデルの仕様には小さな違いがある。「ミリ波」への対応の有無だ。
NTTドコモ版の「AQUOS R8 pro SH-51D」はミリ波(Band n257)をサポートするが、ソフトバンク版の「AQUOS R8 pro」は、ミリ派には非対応となっている。
ミリ波帯は5G向けの周波数帯で、日本では28GHz帯が4キャリアに割り当てられている。5Gの超高速通信を安定して行うために重要な帯域で、駅前や繁華街など、都市部の混雑エリアで整備されている。
2022年発売のAQUOS R7では、NTTドコモ向けとソフトバンク向けの対応周波数帯は共通で、両社ともにミリ波が利用できた。今回のAQUOS R8 Proでは、このミリ波への対応が分かれた格好となる。
ソフトバンクはAQUOS R8 proのミリ波非対応について「今回は、シャープさまと協議した結果、非対応といたしました」と説明する。
NTTドコモでは「AQUOS R8 SH-52D」も発表しているが、こちらはミリ波には非対応だ。この点についてドコモ広報は「ドコモではメーカーと協力して、ターゲットとするお客さまのニーズや使われ方、価格受容性などを考慮して商品を企画しており、今回R8はミリ波対応にはいたしませんでした」とコメントしている。
AQUOS R8は、proと同じプロセッサを備えつつ、カメラ性能などを抑えて、より手に取りやすい価格で販売されるスマートフォンだ。ミリ波への対応を削ることも、価格を抑えるための工夫の1つとなるということだろう。
また、ソフトバンクは過去2年、AQUOS Rシリーズをベースモデルとしたライカブランドのスマホ「Leitz Phone」シリーズを独占販売で取り扱ってきた。Leitz Phoneの次期モデルについては明らかにされていないが、もし投入される場合はミリ波への対応が差別化要因の1つになるかもしれない。
ちなみに、「ミリ波対応でなければつながらない」という場所はまず存在しない。総務省が2月に発表した調査結果によると、ミリ波帯の基地局数はNTTドコモが1882局、ソフトバンクが2188となっている。面積カバー率で見ると、NTTドコモが0.00%、ソフトバンクは0.01%だ。
ミリ波は大容量を確保できる一方で、拡散しやすく広いエリアの整備には向かない。キャリア各社はSub-6帯を中心にエリアを整備しつつ、混雑する場所でスポット的なにミリ波を活用している。
筆者の見解としては、2023年時点の各社のエリアの整備状況を見る限りでは、当面はミリ波非対応のスマホでも不自由に感じないと考えている。
もちろん、ミリ波対応のスマホを意味はある。現状では5Gでの通信速度はSub-6でもミリ波でも体感として大きな差はない。ただし、最近ではエントリースマホでもほとんどの機種が5G対応に対応している。今後も4G LTE機からの移行が続くなら、多くの機種が対応しているSub-6帯から混み合ってくると予想される。3〜4年後を見据えて、今からミリ波対応機を選んでおくのも悪くはないだろう。
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