モトローラとIIJが「razr 40 Ultra」を投入する狙い 陰に見送られたお買い得モデルも(2/2 ページ)
モトローラ・モビリティ・ジャパンが縦折りタイプのスマートフォン「motorola razr 40 Ultra」と、スマートフォン「motorola edge 40」を発表した。国内の通信事業者ではインターネットイニシアティブ(IIJ)が独占販売する。IIJの執行役員でMVNO事業部長の矢吹重雄氏がその理由を明らかにした。
国内の通信事業者ではIIJが独占販売 その理由とは
先述の通り国内の通信事業者ではIIJがrazr 40 Ultraとedge 40を独占販売する。
IIJmioサプライサービスにおける価格はrazr 40 UltraがMOTO STOREより3万5820円安い11万9980円、edge 40が同ストアより7000円安い5万7800円となっている。他社からMNPでIIJmioに乗り換えた場合は、razr 40 Ultraが10万9800円、edge 40が3万9800円とさらに安い。
特にrazr 40 Ultraは10万円を切ることができなかったものの、折りたたみスマホとしては「アグレッシブな価格設定」(矢吹氏)にしたという。その上で「edge 40もミッドハイのモデルとしてはお手頃価格で、ぜひ使っていただきたい」とコメントした。
アグレッシブな価格設定というrazr 40 Ultraについて、矢吹氏は「面白い製品だと思い、松原社長に打診したところ、ともに折りたたみスマホの市場を開拓する強い意志を持っていることから、IIJでの取り扱いが決まった」と独占販売の決定に至った経緯を明かした。
IIJでは「あらゆるユーザーにとって、欲しいデバイスが見つかる」をコンセプトを掲げ、エントリーモデルの「moto g53j 5G」からハイエンドモデルの「motorola edge 30 pro」に至るまで、あらゆるレンジのスマホをIIJmioサプライサービスにて販売している。さらに、スマートウォッチ「moto 360 3rd Gen」も取り扱っている他、リモートワーク需要やeスポーツ市場の成長などを受けて、ノートPCやゲーミングPCも取りそろえ、ラインアップの充実を図っている。
「ガジェッターに刺さるような品ぞろえを重視している」(矢吹氏)こともあり、折りたたみスマホを含め、あらゆる形状や特徴を持つ端末を採用しやすいのだという。
矢吹氏は折りたたみスマホならではの体験エピソードと、razr 40 Ultraの利便性を次のように紹介した。
「私自身は折りたたみスマホを初めて使った。予想を覆すほど便利だと感じた。オフラインで買い物をするシーンが以前に比べて増えている。その際、razr 40 Ultraなら閉じたままの状態でも、アウトディスプレイで電卓を起動し、合計金額を計算できた。電車での移動中に動画を視聴する際、コンパクトなサイズ感のよさを実感した」(矢吹氏)
お買い得な折りたたみスマホ「razr 40」の国内投入が見送られた理由
このように、かなりチャレンジングな端末の国内投入の実現にこぎつけた、モトローラ・モビリティ・ジャパンとIIJだが、実は日本市場への投入が見送られたグローバルモデルがある。「razr 40」だ。
razr 40は6.7型の有機EL(リフレッシュレートは最大144Hz)カバーディスプレイを搭載し、閉じたままでも時計や通知程度なら確認できる折りたたみスマホ。カバーディスプレイはrazr 40 Ultraのアウトディスプレイよりも小さいため、できることは限られてくるが、グローバルでは日本円にして10万円を切る価格(※2)で販売されている。
(※2)価格は販売国や販路によって異なる
折りたたみスマホをはじめとするハイエンド、あるいはプレミアムに位置付けられるスマホは、昨今の部材高騰や円安貴重で、日本で販売されたとしても20万円前後で販売される事例が多い。そのため、razr 40が“お買い得な折りたたみスマホ”として、日本市場へ投入された場合、高価ゆえに敬遠されがちな折りたたみスマホの入り口としての役割を担える、と筆者は考える。
モトローラ・モビリティ・ジャパンとしては「ユーザーをあっと驚かせる最上位のrazr 40 Ultraを日本市場に投入」(松原社長)することで、あえてrazr 40の国内投入を見送ったという。他のモデルの投入についてはコメントを避けたが、折りたたみスマホの出荷台数が2021年に800万台、2022年には前年の倍となる1600万台となり、2026年には4500万台に達するとの調査データ(IDC発行)を挙げた上で、徐々に拡大する折りたたみスマホ市場に意欲を示した。
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