折りたたみスマホが“ごく普通の選択肢”に 「Galaxy Unpacked」で示した新トレンド:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
2023年のGalaxy Unpackedで中心に据えられていたのは、縦折り型のフォルダブルスマホであるGalaxy Z Flip5だった。そのスペックを強調するのではなく、セルフィーやカバーディスプレイのユーザーインタフェース、カメラ機能などを中心に紹介。Galaxy Z Flip/Foldは特殊な端末ではなく、ごく普通の選択肢として訴求していることが伝わった。
発表の中心はGalaxy Z Flip5 “閉じたまま”での利用がより現実的に
「Join the flip side」と銘打っていたことからも分かるように、23年のUnpackedで中心に据えられていたのは、縦折り型のフォルダブルスマホであるGalaxy Z Flip5だ。Unpackedでは、そのスペックを強調するのではなく、セルフィーやカバーディスプレイのユーザーインタフェース、カメラ機能などを中心に紹介。セルフィーの“実演”があったのも、Galaxy Z Flip5だけだ。
実際、発表された端末を見ると、Galaxy Z Fold5がややマイナーチェンジ寄りだったのに対し、Galaxy Z Flip5はフルモデルチェンジを果たし、その利用スタイルまで大きく変える可能性があることが分かる。先に挙げたように、同モデルの特徴だったカバーディスプレイが、「Galaxy Z Flip4」の1.9型から3.4型へと一気に拡大。本体背面の上半分のほとんどを、ディスプレイが占めるデザインになった。
この進化に伴い、“閉じたまま”での利用がより現実的になった。例えば、ウィジェットはその情報量が増し、天気予報であれば、当日の気温の推移が1時間間隔で表示される。晴れや曇りのアイコンもサイズが十分な大きなで、一目で天気を把握することが可能だ。アラームも1画面に複数表示でき、オン・オフの切り替えが簡単にできる。株価のグラフや、音声通話など、もともと用意されているウィジェットだけで完結する操作は少なくない。
こうしたウィジェットに加え、アプリそのものをカバーディスプレイに表示することが可能になった。正式な機能ではなく、あくまで実験的な機能を集めた「ラボ」に位置付けられるものだが、有効にしたアプリを、そのままカバーディスプレイで表示できる。展示機にサードパーティーアプリをインストールできたわけではないため、動作するかどうかは不明だが、例えばPayPayのような決済アプリは、単にバーコード/QRコードを表示するだけならわざわざ本体を開く必要性がない。カバーディスプレイだけで操作を完結できるというわけだ。
また、初めての場所に行くとき、Googleマップのナビゲーション機能を使う人は多いだろう。移動中、経路が正しいかどうかは都度、ディスプレイを見て確認するはずだ。このようなときに、いちいち本体を開くのは手間がかかる。これに対し、Galaxy Z Flip5ならカバーディスプレイを点灯させるだけでいい。フォルダブルスマホをあえて開かず、コンパクトなまま使うことができるようになったという意味で、Galaxy Z Flip5はこれまでのモデルとは一線を画している印象だ。
さらに、閉じたときに大きな割合を占めるカバーディスプレイとスマホでおなじみのケースを組み合わせることで、“きせかえ”に近いカスタマイズを実現した。ケースに付けられたNFCを端末側で読み込むことで、その柄に合わせたカバーディスプレイ用の画像をダウンロードでき、トータルコーディネートを楽しめる。こうしたきせかえが成立するのは、Galaxy Z Flip5のカバーディスプレイが大画面だからこそといえる。
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